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豊島将之名人!令和初、平成生まれ初、9人目3冠「偶然ですけど光栄なこと」

5/18(土) 6:03配信

スポーツ報知

 「令和の名人」が誕生した。将棋の第77期名人戦7番勝負第4局が16、17両日に福岡県飯塚市で行われ、先手番の挑戦者・豊島将之2冠(29)が133手で佐藤天彦名人(31)に勝ち、対戦成績4勝0敗で初の名人位を獲得した。平成生まれの棋士が名人に就くのは初めて。史上9人目の3冠達成者(名人・王位・棋聖)にもなった豊島は、令和初の名人に「偶然ですけど光栄なこと」と喜びを語った。

 終局後、名人になった思いを問われた豊島は、数秒の沈思黙考の後に言った。「名人戦は出られるだけでうれしいことだと思っていました。一局一局を丁寧に、一瞬一瞬を大切にしようと思ってやってきて結果も出せて良かったと思います」。目の前にいる佐藤への配慮か、表情を変えなかった。

 圧巻すぎる名人奪取劇だった。手にした優位を一度も渡さず、守り続ける王者の将棋。最終盤、ジュースに添えられていなかったストローを追加で頼み、悠然と飲む余裕すらあった。

 3連覇中の佐藤を開幕4連勝でスイープ。後手番の第1局で千日手に持ち込み、先手番の指し直し局に先勝したことで勢いに乗った。2013年度の渡辺明竜王・棋王・王将(当時)以来6年ぶり史上9人目の3冠達成者となった。

 名人の姿に憧れたのが将棋を始めた原点だった。1995年、羽生善治名人(当時)が佐藤康光竜王(同)に挑んだNHKスペシャル「対決」を偶然見て、盤上の世界に興味を持った。弱冠9歳で棋士養成機関「奨励会」に入会し、2007年に16歳で平成生まれ初の四段(棋士)になった。12年後の令和元年、平成生まれ初の名人に。「偶然ですけど、光栄です」。関西所属棋士では97年度の谷川浩司以来22年ぶりの名人獲得者となった。

 10年度からタイトルに4度挑戦するも実らず。転機は14年。棋士とコンピューターの5対5の団体戦「第3回電王戦」で棋士側唯一の勝利を挙げた。一日約10時間の研究、約1000局の練習対局を経たことでコンピューターの特長を自らのスタイルに取り入れ、強さに磨きをかけた。昨期の棋聖戦で羽生を破って念願の初タイトルを獲得。直後の王位戦も奪取し、2冠に。重圧から解放され、一気に頂点を極めた。

 感想戦の後、会見に臨んでようやく少しだけ笑顔を見せた。「伝統と歴史のある名人位は小さい頃からの憧れ。自分が描いていた名人と比べて、技術も人間的にも未熟だと思うので努力して成長していけたらと思います」

 6月には初防衛戦となる棋聖戦5番勝負で渡辺明2冠(35)を挑戦者に迎える。藤井聡太七段ら若手が台頭し、注目が集まる将棋界。群雄割拠の混戦から抜け出せるか。試練の夏がやってくる。(北野 新太)

 ◆豊島将之新名人アラカルト

 ▼誕生 1990年4月30日、愛知県一宮市生まれ。29歳

 ▼師匠 タイトル獲得通算4期の桐山清澄九段(71)。81年度名人戦で中原誠名人(当時)に敗退した師匠の悲願を38年後にかなえた

 ▼平成生まれ初の棋士 9歳で奨励会入会。2007年4月、16歳で四段昇段。当時から読みが鋭く、将来の名人候補といわれた

 ▼タイトル 11年、王将戦に初挑戦。昨年7月、5度目のタイトル挑戦で、棋聖を奪取。9月に王位となり2冠に

 ▼愛称 とよP、とよしー

 ▼プロ野球 阪神ファン

 ▼好きな食べ物 食べると高勝率というカレーライス

 ▼好きな映画 「ハリー・ポッター」シリーズ

 ▼愛読書 イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏のベストセラー「サピエンス全史」「ホモ・デウス」シリーズ

 ▼好きな時間 将棋を指しているけど切羽詰まっていない時

 ▼怖いもの 虫と自然災害

最終更新:5/19(日) 6:46
スポーツ報知

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