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作詞家・富野由悠季が語る“アニソン”の価値基準の変化

5/18(土) 8:40配信

オリコン

 今や“アニソン”と言えば、日本のポップカルチャーとして世界中で愛されるドル箱コンテンツだが、80年代まではPOPSとしての認識はまだまだ浅く、ジャンルとしても低く見られていた。そんなアニソンがどのように市民権を得るに至ったのか? アニメ監督としてはもちろん、井荻麟(ペンネーム)という作詞家としても数多くの名曲を世に送り出してきた富野由悠季氏に話を聞いた。

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■40年前、「アニソン=子ども向け」という認識を“突破したい”と考えた

――これまで富野監督が井荻麟(いおぎりん)名義で作詞された楽曲は、実に80曲以上にのぼります。作詞家をされた経緯を教えてください。

【富野由悠季】それは簡単な話で、総監督権限です。当時、『ガンダム』の楽曲はキングレコードから出ていますが、それまでのアニメ音楽というは「学芸部」扱いだったんです。

――学芸部、と言いますと“子ども向け”というニュアンスでしょうか。

【富野由悠季】僕もアニメの仕事をはじめて、レコード会社の社員さんと話をして初めて知りましたが、「学芸部」という言葉遣いでビックリしたんです。「それは何なんですか?」と聞くと、いわゆる童謡とか、学校の教科書に載るような楽曲担当だという。

――今でこそ、ポップスや流行歌、アニメ音楽などが小中学校の教科書に載るようになりましたが、40年前はアニメ音楽が教科書に載るということはほぼなかったかと思います。

【富野由悠季】そうですね。まさに教育的という視点で選ばれた曲しか教科書には載らなかった時代でした。なぜ、アニメの音楽が一般の楽曲扱い、いわゆる歌謡曲をやっているような部署ではないのかと聞くと、「子ども番組だから」と言われもしました。事実、「いけいけガンダム」的なOPやEDの歌詞の時には学芸部扱いでもよいだろう、「それはしょうがないよね」という了解もありました。一方で、アニメ音楽というジャンルが“子ども向け”という認識を受けている状況を突破しなくてはいけない、とも感じていました。それだけのことなんです。

――ロボットアニメはおもちゃメーカーなどの意向で制約がつきものです。音楽に関しては妥協せずにやりたいという意識もあったのでしょうか。

【富野由悠季】『ガンダム』に関しては、レコード会社から推薦される作詞家、作曲家を使うのをやめようと思ったんです。ではやめた時にどうするか、作詞家や作曲家に「こんな楽曲、こんな歌詞にしてください」と妥協せず、正面きって言える作品が『ガンダム』だったんです。

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最終更新:5/20(月) 18:25
オリコン

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