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高校時代の「もやし炒め」から始まった、若きシェフの中華道

5/18(土) 11:01配信

食べログマガジン

香港でもおなじみの一品だが、ここではさりげなく佐伯テイストを加味。本場ではしっかりと火を入れるそうだが、佐伯シェフは「しっとりした身質とジューシー感、肉の旨味を引き出したくて、煮込む時間は14~15分と、ギリギリの火入れにしています」とのこと。

なるほど鼈甲色に艶びかりする乳鳩は、つるりと滑らかな皮と、その下に潜む肉片の柔らかくきめ細かな食感とが絶妙のバランス。鳩そのものの鉄分のうまみを損なわぬタレの加減も上々だ。

また、“豚トロとハムユイの香港風土鍋ご飯”も、香港ラバーなら見逃せない逸品だろう。米は、もちろんジャスミンライス。ハムユイが持つ、発酵食品ならではのややくせのある旨味が豚トロの脂分を受け止め、肉汁共々じんわりと米に染み込んだおいしさは格別。

ついおかわりを所望してしまうこと請け合いだ。その他、“揚げ大根餅”に“発酵からし菜とモツの煮込み”、“豚足酢漬け”、“ハタ 揚げにんにく 干ししいたけ土鍋煮”に“ホタテ 春雨 ガーリック蒸し”etc.メニューは、少しずつ日替わり。締めの食事も、先の土鍋ご飯のほか炒飯や麺も用意されている。

中でも、食べずに帰れば後悔すること必至の逸品が“上湯麺”である。この上湯スープが実に美味。聞けば、水4リットルに対して老鶏1羽、豚赤身肉1kg、金華ハム350gを入れ、最初は強火、沸騰したら弱火で1時間半煮込み、更に蒸し器で5~6時間あまり蒸し上げてようやく完成する労作だ。

黄金色に澄んだその上湯スープは、雑味なくクリアにして、しみじみと舌に広がる滋味深い味わいが印象的。このピュアなおいしさに余計な具は無用の長物だ。少量の黄ニラのみの潔いスタイルが、スープの旨味の邪魔をすることなく、全体の味を品良く引き立てている。

ちなみにメニューは、アラカルトと予約客用のコースを用意しているものの、既に6月半ばまで予約客で殺到しているため、現状ではコースが主体。税別8000円と5500円のショートコースがある。(取材時の料理は、いずれも8000円のコースから。写真は3人前、上湯麺のみ1人前)

取材・文/森脇慶子 撮影/飯貝拓司

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最終更新:5/18(土) 11:01
食べログマガジン

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