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高校生に学びの場を 課題解決へ率先  住民、行政、JA、大学が支援 文科省新事業

5/18(土) 12:07配信

日本農業新聞

 文部科学省は今年度から、高校を舞台に将来の地域活性化を担う人材を育成する事業をスタートさせる。教育を高校だけで完結させず、地域ぐるみで進めていくことがポイントだ。農業系高校では島根県立出雲農林高校、山口県立田布施農工高校、熊本県立天草拓心高校が採択された。スマート農業、酒や花きなどの特産品開発、休耕田再生など、JAや地域住民、地元の大学などとタッグを組んで地域おこしに奮闘する。

スマート農業実践 山口県立田布施農工高

 山口県の中山間地域、田布施町にある県立田布施農工高校。地域の郷土館の館長を務める農家の高橋茂樹さん(66)が「アシストスーツ」を試着する。スーツは同校が開発中で、着用感などについて笑顔で話し合う。

 「地元の人が困っていることがあれば、少しでも力になりたい」と3年生の小森秋生さん(17)。高橋さんは「高校は大学進学のための通過点だと、住民も生徒自身も思っていた。でも、古里の魅力や資源を知って、地域づくりの一員になってほしい」と願う。

 県の特産・オリジナルユリ栽培、どぶろく特区を生かした酒造りなど、地域密着の農高を目指してきた同校。今年度からは文科省の支援を資金に、地域を愛(あい)し、自分(I)ごととして考え、地域を見て(EYE)知る、三つの「あい」で地域課題解決を担うプロジェクトに取り組む。推進に向け、高橋さんら地域住民、集落営農組織、農業法人、行政や山口大学などとコンソーシアム(実行団体)を立ち上げる。

 アシストスーツなど、スマート農業もプロジェクトの一つ。高齢化を踏まえ、スーツの試作や普及を強化していく。離れた場所からもハウスの温度管理や農作物の生育状況を確認できるセンサーの開発も進めている。

 かつて同町は杜氏(とうじ)を輩出する地として有名だったことから、杜氏の後継者育成も進める。どぶろくのイメージアップや酒造会社と清酒開発も進める予定だ。

 この他、高速道のサービスエリアの売り上げ向上、休耕田を活用したアスパラガス開発、空き家バンク活性化、防災活動、小学校との交流、ブランド開発などさまざまな展開を検討する。どれも住民と共に地域の課題解決につながる活動を担うことがポイントだ。

 3年生の鶴田彩笑さん(17)は「子どもができたとき、元気でにぎやかな田布施のままでいてほしい。地域の人から、してもらうばかりだったけど、自分が地域づくりに関わっていくのはやりがいがある」と意気込む。河口晋教諭は「地域が発展すること、祭りや文化、農業が存続することが生徒の教育につながる。地域を支える人材を地域ぐるみで育成していく」と強調する。

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最終更新:5/20(月) 17:48
日本農業新聞

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