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下請けは「短納期」の要求を毅然と断れるのか

5/18(土) 21:16配信

ニュースイッチ

長時間労働の是正に向けて

 4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働是正に向けた取り組みが動きだした。しかし、このテーマで筆者がセミナーを行うと、大抵、下請の中小企業から「単独で生産性向上や業務効率化を進めても、労働時間削減には限界がある。取引先(主に大企業)から発注があれば、残業してでも対応せざるを得ない」という悩みが聞かれる。

 実際、3月に経済産業省・中小企業庁が公表した「長時間労働に繋がる商慣行に関するWEB調査」によると、直近1年間で、中小企業の6割で短納期受注が発生している。

 その発生要因として、約8割の企業が「取引先からの要望への対応」を挙げており、自社の強みとして短納期を実施している企業は2割に満たない。

 さらに、短納期受注により、7割近い企業が「従業員の平均残業時間が増加する」と回答している。大企業の働き方改革が、日本にある企業の99%以上を占める中小企業へのしわ寄せによって実現するのでは、取り組みの裾野が広がらなくて当然であろう。

 しかも、残業の上限規制は、大企業の方が1年早く施行となっているため、中小企業が法律を理由に断るのも難しい。

 この取引関係の適正化をどう進めるか。残念ながら特効薬は見つからない。ただ、発注側は想像力を働かせてほしい。下請を「都合のいい存在」として扱い続けていては、その下請が疲弊しきってしまう。待っている未来は共倒れである。

 一方、下請側は、無理な要求には毅然(きぜん)と対応したい。それが難しければ、せめて発注者に自社の事情を知ってもらうよう、面談や事業所訪問、勉強会開催などを継続的に行う。

 そして、ともにもうかる仕組みづくりに向けて知恵を出し合う。「ビジネスチャンスを失うのでは」という懸念もあるかもしれないが、むしろその分、付加価値を上げられないか検討してみる。このように、働き方改革を、取引先とのパートナーシップを見直す機会と位置づけたい。

 なお4月より、労働時間等設定改善法において、長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮することが事業主の努力義務となった。下請法や独占禁止法違反への厳正な対処と併せ、下請企業が声を上げやすい雰囲気の醸成を望む。

高橋美紀(中小企業診断士)

最終更新:5/18(土) 21:16
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