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定年はナンセンスか、75歳で就職も-働く高齢者が増加

5/18(土) 6:00配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 「何でも仕事をやりたかった」-。埼玉県に暮らす葛野美紀子さん(78)が現在の勤務先に就職したのは75歳の時だった。採用担当者に年齢だけで判断されないよう、電話で「そちらに行くので、元気な私を見てください」と訴えて面接にこぎ着け、採用が決まった。

飲食店などで使用するおしぼりをレンタルする会社で葛野さんは、洗浄後のおしぼりに汚れがないか確認し、半分に折りたたむ作業を担当している。毎日午前9時から3時間立ちっぱなしの仕事だが、「働ける限り働かせてもらいたい」と話し、引退は考えていない。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2065年の日本の人口は15年比3割減の8808万人となり、うち約4割が65歳以上の高齢者が占める。安倍晋三首相は、政権の課題を「国難とも呼ぶべき少子高齢化」として、高齢者が活躍できる社会の実現を掲げる。15日の未来投資会議では、「元気で意欲ある高齢者にその経験や知恵を社会で発揮してもらえるよう、70歳までの就業機会の確保に向けた法改正を目指す」との方針を示した。

65歳以上の就業率は18年で24.3%。5年間で約4ポイント上昇した。内閣府が1月に公表した世論調査では、何歳まで仕事をしたいかとの質問で、最も多かった回答が61-65歳の30.7%。続いて66-70歳の21.5%で、66歳以上とした人は合わせて37.6%いた。

定年制

全国で飲食店向けの中古厨房(ちゅうぼう)機器を販売するテンポスバスターズは、60歳以上の従業員が4分の1を占める。同社の森下篤史社長は、故郷の静岡県にある山間の町で90歳まで畑仕事をしていた父親の姿を見て「働ける場があることは喜びだ」と感じ、定年制の撤廃に踏み切った。森下氏自身も72歳。「だいたいあと28年、100歳くらいまで働ける」と意欲を見せる。

同社では従業員が出勤日数や勤務時間を自由に選択できるため、高齢者に限らず、シングルマザーや障害者も自分のペースで働いている。森下氏は、大企業など生産性の高さが求められる職場ではできない制度だとして、多様な人材が集う企業を作ることが、高齢化が進む社会の中での役割分担につながると指摘する。   同社新宿店に勤務する木村隆義さん(73)は、群馬県で営んでいた家具販売店をたたんだ後、58歳で入社した。地元では就職先の選択肢が少なかったため単身上京。70代の今も厨房機器が並ぶ広い店内を駆け回り、トップセールスマンとして一目置かれる存在だ。

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最終更新:5/18(土) 6:00
Bloomberg

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