ここから本文です

世界初「ペットボトル」使った心肺蘇生。毎日200人亡くなる命を助けるために

5/19(日) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

見た目は、単なる空っぽのペットボトルとポップな絵柄のレジャーシート。これが世界初の「CPR(心肺蘇生)訓練キット」として人命救助の現場で威力を発揮するという。

【全写真を見る】世界初「ペットボトル」使った心肺蘇生。毎日200人亡くなる命を助けるために

開発した一般社団法人ファストエイド(東京都文京区)が目指すのは、キットによる日常的な訓練の普及により、市民の誰もが気軽に「たすける手」となれる社会。4月11日からは、ReadyforでCPRトレーニングボトルの普及に向けたクラウドファンディングを開始した。

ペットボトルのゴミが人命救助に

年間7万5000件も発生し、誰にでも起きる可能性のある突然の心停止。この社会課題を前に、ファストエイド代表理事の玄正慎(げんしょう・まこと)さん(38)が力を注ぐのがこのペットボトルとシートという訓練キットの普及だ。

開発でこだわったのは、ゴミになる手前の空容器で「もうワンアクション」という手軽さだ。

日本は、世界有数のAED(自動体外式除細動器)普及国でありながら、突然の心停止で亡くなる人が毎日200人いる。

倒れている人を見かけてから119番通報するまでに平均約3分、救急車到着までに約8.5分かかっている。心停止は何もしなければ、1分経過するごとに7~10%ずつ救命率が落ちていく。倒れた人を見つけたら、胸を強く一定のリズム押すCPR(心臓マッサージ、胸骨圧迫)をするだけで救命率が2.5倍になる。

「だからこそ、救急隊員が到着するまでの10分間を“つなぐ人”が重要なんです。一つは情報をつなぐこと。119番通報と同時にAEDを持ってきてもらう、救命の有資格者を呼んでくるという方法もある。これは、僕がCoaidoという会社でアプリ「Coaido119」をつくって実現しています。

もう一つは実際に心臓マッサージを行って救急隊員に引き継ぐこと。心臓マッサージはちょっと覚えればできる。誰もが“つなぐ人”になれば、いざというときものすごく助かるなと」(玄正さん)

米シアトル市では60%超の救命率があり、救命講習を受講した市民が救急活動に協力しているという。

救命救急に最も必要な行動指針に「チェーン・オブ・サバイバル(救命の連鎖)」がある。

救急隊、病院での処置へとつなげる4つの輪(アクション)で救命率を高める。真ん中の「早期認識と通報」「早い心肺蘇生とAED」という2つの輪の担い手は、居合わせた市民だ。

2つの輪を大きくするには、情報をつなぎ、行動につなげるための予備知識と日常的な訓練が欠かせない。

日本で心停止後の救命率が低迷しているボトルネックは、「CPR訓練の機会が限られていること」だと、玄正さんは指摘する。

従来使われている訓練用の人形は、数万円もするものが多い。だったら、と2017年にペットボトルを生かしたキットを考案。改良を重ね、救命の有資格者とともにキットを使った講習活動を展開してきた。企業、学校、スポーツチームなどで実施された講座の受講者は、1000人を超えている。

1/3ページ

最終更新:5/19(日) 8:10
BUSINESS INSIDER JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事