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小津安二郎『東京物語』が世界的に評価され続ける理由

5/19(日) 6:31配信

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【町田雪のLA発★ハリウッド試写通信 ♯30】
「LA発★ハリウッド試写通信」では、ロサンゼルス在住のライターが、最新映画の見どころやハリウッド事情など、LAならではの様々な情報をお届けします。

日本映画界が誇る巨匠監督の1人、小津安二郎。その代表作である『東京物語』(1953年)は、世界中のシネフィルやフィルムメイカーのあいだで、オーソン・ウィルズ監督『市民ケーン』(1941年)などと並ぶ名作として位置づけられている。

タイトルに“東京”、テンポはゆったり、内容もきわめて日本らしい(かつ50年代の)家族の物語である同作が、国境も時代も越えて称される理由は何なのか? その魅力を再発掘してみたい。

名だたる監督が選ぶオールタイムベスト1に

『東京物語』は、年老いた両親と、自立した子どもたちの様子をとおして、家族の在り方を問う作品。子どもたちと過ごす時間を楽しみに上京する老年夫婦と、自分たちの生活で忙しく、親をもてなす余裕のない子どもたち(時間、金銭、精神面のすべてにおいて)の姿が、切なく痛く、身につまされる。親子や夫婦、兄弟姉妹の関係、血のつながりを超えた絆、老いと死といったテーマが散りばめられた、家族ドラマ映画の傑作だ。

世界中のメディアやシネフィルが選ぶ、さまざまな映画ランキングで上位にランクインする同作。なかでも、英国映画協会(BFI)が発行する映画雑誌「サイト・アンド・サウンド」が10年に一度行う投票においては、直近の2012年に、映画監督358人が選ぶベスト映画の第1位に輝いた。

358人のなかには、クエンティン・タランティーノやギレルモ・デル・トロ、マーティン・スコセッシ、マイケル・マン、フランシス・フォード・コッポラ、マイク・リー、アキ・カウリスマキら、錚々たる顔ぶれが並んでおり、この結果がいかに神々しいものなのかを物語っている。

さらに、『東京物語』は同年、846人のシネフィル(映画評論家、映画研究者、フィルムメイカー、配給関係者など)が選ぶベスト映画50本のリストにおいても、1位の『めまい』(1958年/アルフレッド・ヒッチコック監督)、2位の『市民ケーン』(オーソン・ウェルズ監督)に次ぐ、第3位を獲得。それ以前の1992年の投票でも3位、2002年では5位であり、揺るぎない評価が見てとれる(次の投票は2022年)。

いまや、映画の評価をはかる強力なツールとなっている映画批評サイト「ロッテン・トマト」でも、『東京物語』はツワモノだ。同作公開時には当然、存在していなかったサイトだが、批評家たちによるレビュー採点(トマトメーター)は100%、1万人以上のユーザーによる評価も93%と高得点。批評家たちのコメントを総合した作品紹介には、「半世紀以上を経てなお、色あせることのない、見ごたえのある複雑さを備えた、小津安二郎の最高傑作」と綴られている。

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最終更新:5/19(日) 6:31
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