ここから本文です

産んでも産まなくても…25歳の私が社長を引き受ける前に徹夜で考えた仕事と出産、家族のかたち

5/19(日) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

自分のお腹で育てても「他人」

血縁にこだわり、自分で産みたいと言う人の気持ちも、わかる。

ただ、「自分の家族は血がつながっているから大事なの?本当にそうかな。つながっていなくても家族だし、つながっていても嫌いということもある。家族を作る方法が、子どもを産むしか見えない現状は、問題じゃないかと」

酒向さんの脳裏には、ある光景があった。

お正月に都内の実家に帰ると、元々は血縁でつながった家族のコミュニティだった場所も、自分やきょうだいが成長するにつれ、帰る実家のない友達を連れてきたり、血縁外の人たちがお客さんとしてではなく一緒に過ごしたり。ゆるやかに拡大している。「私はこのコミュニティーが欲しいのであって、血縁、結婚が必然ではない」

家族の定義はひとつでないはずだ。

「自分のお腹の中にいても『他人』。自分が産んだからといって、うまく行くとは限らない。家族もチームビルディングで、そのメンバーで最善を作って行く。血縁の問題ではないと思うのです」

社会の夜明けを諦めない「何度でも、おはよう」

酒向さんがトップに就任したGoodMorningの社名は、人種差別撤廃を求める非暴力闘争でアメリカの公民権運動を率いた、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの演説にちなんでいる。

「彼らの長い夜に終止符を打つ、喜びに満ちた夜明け」

キング牧師は、演説から100年前の奴隷解放宣言を「夜明け」と呼び表し、到達点ではなく、新たな始まりと位置付けている。そして社会にはいくつもの夜明けが今なお、待たれているはずだ。

日本においても、シングルマザーの貧困、親の経済力に左右される教育格差、同性カップルを阻む婚姻制度、待機児童問題 ― さまざまな課題を社会が抱えている。

声をあげた人に賛同する人たちがつながり、連帯が広がる。そうしてやがて社会を変えて行く流れを、クラウドファンディングという仕組みで支えることが、GoodMorningの使命だ。

社会の夜明けを諦めないという意味で、「何度でも、おはようを」(酒向さん)とのメッセージを、その社名に込めているという。

女性が仕事を続けながら家族をもつこと、家族の形の多様性など、自らが内包する葛藤も、そのまま社会の課題に繋がっている。そして、その解決を求めて社会が前進していることも、体感している。

「これまでクラウドファンディングと向き合ってきて、想像しているよりずっと、社会は良くなっていると感じています。声をあげる人がいて、それに応える人がいると、社会は確実に変わる」

そうして悩んだり葛藤したりしながら、何度でも夜明けを迎えればいいはずだ。

(文・滝川麻衣子、写真・今村拓馬)

酒向萌実(さこう・もみ):GoodMorning代表取締役社長、1994年2月生まれ、東京出身。ICU卒。2017年1月より株式会社CAMPFIREに参画。ソーシャルグッド特化型クラウドファンディング“GoodMorning“立ち上げメンバーとしてプロジェクトサポートに従事。事業責任者を経て、2019年4月に事業を分社化し、現職。

滝川 麻衣子 [Business Insider Japan]

4/4ページ

最終更新:5/19(日) 12:10
BUSINESS INSIDER JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事