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米が新たな対中関税~中国がアメリカに屈しない2つの理由

5/19(日) 8:20配信

ニッポン放送

ジャーナリストの佐々木俊尚がニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月15日放送)に出演。米中の貿易摩擦について解説した。

アメリカが中国に対する新たな関税の詳細案を発表

アメリカの通商代表部は13日、中国からの輸入品のうちまだ高い関税をかけていないおよそ3000億ドル分に最大25%の関税を上乗せする計画を正式に表明した。3805品目が対象となる詳細案である。今後、産業界などから意見を聞き発動は6月末以降になるとのこと。

飯田)米中の貿易をめぐる対立第4弾の制裁まで発表されて、ほぼ全品目にわたる。

中国がアメリカの要求を飲まない2つの理由

佐々木)恐ろしい事態ですよね。これには既視感があります。1970~1980年代の日米貿易摩擦そっくりです。日本は戦後、護送船団行政と言われていますが、国内の産業を徹底的に保護して海外から入って来るものは関税障壁で入れさせないで、自国の自動車産業や電気を守るということをやって来ました。そこでアメリカが日本からどんどん輸入が来るので腹を立てて、「もっとオープンにして海外からもっと売れるようにしろ」と要求したのです。これに日本は屈せざるを得なかった。安全保障的にはアメリカの核の傘の下に入っていて、アメリカの属国みたいな状況ですから、NOとは言えないので全部屈したのです。

飯田)その当時、経産省として交渉にあたった人は「結局、外務省が安全保障と言って全部飲まされたんだよ」と愚痴をこぼしていました。

佐々木)結果的に日本のエレクトロニクスはいま完全に崩壊していますよね。その道筋の1歩を踏み出したのがそこだと指摘している人もいます。中国はこれをよくわかっている。中国はITに関して言うと、この10年日本の護送船団行政と同じことをやって来たのですよ。要するにグレートファイアウォールとかインターネット版万里の長城と言われていますが、フェイスブックやツイッターなど海外のものが一切使えない、国内でしか使えないウェイボーやバイドゥなどのIT産業を一生懸命育成して来て、ある程度競争力が高まったところで一挙に広げ、HUAWEIのスマホが世界中で売れてAppleを抜いてしまうみたいなことが起きている。日本の護送船団行政の自動車とか電気を育成したのと同じ構図ですよね。やはりアメリカがそれに対して文句を言って来て、例えば中国は関税障壁を作っていたり、海外の企業が中国市場に参入しようとすると、海外の企業の持っている技術を中国の企業に移転させなければならないため、真似されて同じものを作られてしまうので、それをやめろとアメリカが要求しているのですよ。ところが中国はこれに屈しない。なぜかと言うと、中国はアメリカの安全保障に頼っていないからです。しかも自国で10億も人口を持っている。さらに大きいのは、政治体制に関わることで中国は共産党一党独裁ではないですか。共産党が産業とも一体化してそれを支えるという、完全なる独裁的な経済なわけでしょう。それをやめさせるのは中国の共産党の存在理由にも関わる。それは日本の自民党が飲んだものとまったく構造が違います。中国がここでアメリカの要求を飲んでしまったら、共産党独裁という政治体制そのものが揺らでしまいかねない、という恐怖感が満ち満ちているので絶対に受けない。

飯田)経済担当の副首相の劉鶴さんは、いろいろ報道されていますが、これをテコにして国内改革できるのではないかと思って飲もうとしたら、最終的に習近平氏が「責任を取るからこれはだめだ」とひっくり返したという話がありますよね。

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最終更新:5/19(日) 8:20
ニッポン放送

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