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「堂々暮らせる社会を」 ハンセン病回復者 重い口開き訴え ハンセン病市民学会 沖縄で開催

5/19(日) 11:25配信

沖縄タイムス

 第15回ハンセン病市民学会総会・交流集会が18日、沖縄県の石垣市民会館中ホールで開かれ、元患者の回復者や市民ら約300人が参加した。島に療養施設がないため県内外に出ざるを得なかった3人の回復者が登壇し、地元で初めて重い口を開き、偏見や差別の根絶に向けた啓発の大切さを訴えた。沖縄での開催は2年連続3度目で、八重山開催は今回が初めて。19、20の両日は宮古島市で開かれる。

 「八重山の回復者が大手を振って生活できるよう、みんなで助けてほしい」

 ハンセン病問題の解決に何が必要かとの問いに、上野正子さん(92)は声を大にして、力を込めた。

 沖縄本島の女学校に通っていた13歳の時に、鹿児島県の星塚敬愛園に入所した。旅立ちの港で「ねーねー、早く帰ってこいよ」と、2歳と1歳の弟が片言で見送ってくれた。

 小学4年生のころ、強制的に船に乗せられている患者を見た。「私が同じ病気になると思わなかった。嫌われる怖い病気だと痛感した」と振り返った。

 2001年の国賠訴訟の勝利を巡り「多くの支援のおかげ。この恩を忘れることなく語り部として活動を続けたい」と意欲を語った。

 大阪で語り部の会を率いる宮良正吉さん(73)は、回復者が今も隠れて暮らす八重山の現状に、「行政は啓発事業を本気でやってほしい」と訴えた。

 本人が名乗り出なくても、話したいという前向きな変化に期待する。「そういう状況をつくる必要がある」と語る。回復者の平均年齢は75歳超とされる。「介護施設に入るにしても、偏見や差別がなく、安心できる環境が大事だ」と説いた。

 語り部を始めたのは国賠訴訟の勝利がきっかけ。原告が素顔をさらしているのを見て、自然と涙が出てきた。「自分の過去を隠すのではなく回復者として堂々と生きていく。原告の皆さんが、振り返る時間を私に与えてくれた」と話した。

 「八重山でハンセン病の理解が遅れているのは啓発が進んでいないから」

 金城雅春さん(65)は冷静に指摘した。沖縄愛楽園自治会長として啓発活動に力を入れている。昨年は9校、ことしは既に13の小中学校に出向き講話した。「インフルエンザより簡単に治る病気。子どもに正しい知識を学んでほしい」

 入所当初から病を隠さず、園外の人と交わり、古里の友にも会いに行く「われわれの年代は気にしない」と語る。

 「機会をつくっていただければいつでも島に出向きたい」と逆提案。当事者が語る重要性を強調し、「そうしないと社会は変わらない。八重山で学会が開催された意義を将来に残していこう」と呼び掛けた。

最終更新:5/19(日) 11:25
沖縄タイムス

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