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「不謹慎狩り」の犯人は? 戦時中すでにあった「ネット世間」の原型 この不毛なゲームやめるには……

5/25(土) 7:00配信

withnews

平成も終わりに差し掛かった平成28年(2016年)に発生した「熊本地震」では、被災地への支援を公言した有名人らに対するバッシング行為が相次いだ。古くは戦時中にも見られた「不謹慎狩り」が今、ネット空間において不安と不満の連鎖を生んでいる。不安定な社会のフラストレーションを解消する「コスパの良いゲーム」を、私たちはいつまで続けるのか。「不謹慎狩り」の起源を振り返る。(評論家、著述家・真鍋厚)

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笑顔の写真アップしただけで「不謹慎」

現在、大きな自然災害が起こる度にネット上で沸き上がるようになり、著名人はもちろんのこと一般人も対象となっている「不謹慎狩り」。中でも熊本地震は、「不謹慎狩り」が注目された最初の大災害として記憶されている。

例えば、被災地に義援金を送ったタレントが、その金額を明らかにしてソーシャルメディアに投稿した途端、「偽善」「売名」などとの批判にさらされ、歌手が非常時に必要なもの一式を示したイラストを、自撮りの写真付きでソーシャルメディアに投稿すると、それにも「売名」などとの批判が押し寄せた。

さらには、震災で家が全壊し、途方に暮れた状況を涙ながらにソーシャルメディアに投稿したタレントに対しても、そのような発言自体が自己アピールと断罪され、誹謗(ひぼう)中傷のコメントが相次いだ。

一方、震災とまったく関係がないにもかかわらず、女優が友人たちと笑顔で写っている画像を投稿しただけで、「不謹慎」の大合唱に見舞われ削除に追い込まれた。

バッシングのためのバッシング

このような炎上現象を引き起こす人々について、精神科医の岩波明は、「彼らの本当の目的は、正当な非難ではない。ネット住民たちは、バッシングすべき対象が見つかれば、相手は誰でもよい。ただ、他人を徹底的に攻撃することが、心地よいのである」と述べ、「現在の日本社会では、バッシングすること自体を自己目的化したバッシングが横行している」との認識を示した(岩波明『他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑(リンチ)』幻冬舎新書)。

「自己目的化」とは言い得て妙である。

ただし、その異常な行為の背後には、「世間」という価値観に捕らわれて不自由を強いられている個人がいることにも目を向けなければならない。

バッシングをする側が抱える社会的なつながりの希薄さ、不安と不満の感情を抱え込みやすい個人が浮かび上がってくる。

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最終更新:5/25(土) 19:49
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