ここから本文です

“普通の日常的ツアラー”として使える至宝の1台

5/20(月) 11:37配信

octane.jp

犬は「待て」と指示されると餌から目を背けるが、同じように、あまりに魅力的なので見つめていられない車もある。これもそんな1台だ。わずか9台製造の希少なフレイザーナッシュ・ル・マン・クーペで、1954年のアールズコート・モーターショーで展示された1台である。
 
ル・マンは1953年に誕生したフレイザーナッシュ初の“クローズド"カーだ。実質的にはタルガフローリオ・モデルにルーフを付けたものだった。パラレル形チューブラーフレームに、前後とも独立式サスペンションで、ラック&ピニオン式ステアリング、リアにトーションバー、2リーディング式ドラムブレーキを備える。美しいボディは軽量なアルミニウム製だ。


 
わずか760kgの車重に、出力140bhpの2.0リッター直列6気筒ブリストルエンジンを搭載。当然ながら素晴らしいパフォーマンスを発揮し、プロトタイプは1953年のル・マンでクラス優勝に輝いた。そこで翌年、ル・マンの名を冠した市販バージョンが登場したのである。1954年はル・マンに3台出走し、同じプロトタイプが総合11位という好成績を残した。
 
とはいえ、フレイザーナッシュの大家であるデニス・ジェンキンソンは、大半の車が"普通の日常的ツアラー" として使われていたと記している。それは、この車にも当てはまりそうだ。なにしろ、最初のオーナーであるアンソニー・トゥエンティマンは、3年間で2万4000マイルも走行している。1955~56年にはレースにも参戦した。そのため、圧縮比を8.5:1に高めた特別なエンジンをブリストルに造らせて搭載した。


 
ほかにも、調整可能なラジエータースロットや、センターロックホイール、放熱フィンを設けたアルフィンドラム、フライオフ式ハンドブレーキなど、多くの特別仕様が今もそのまま残っている。また、シートも調節可能なものに変更した。
 
トゥエンティマンのあと、1995年までに二人の手に渡り、二人目が30年間所有していた。その後、3回オークションに出品され、最後のオーナーがフルレストアを済ませている。希少なだけでなく、どんなビッグ・クラシックイベントにも参加でき、レースもラリーもヒルクライムもお手の物だ。もちろん、この至宝を非常に速い“日常的ツアラー"として使う贅沢な選択肢もある。

Octane Japan 編集部

最終更新:5/20(月) 11:37
octane.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事