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<北朝鮮内部>食糧援助求めながら金正恩氏は観光地開発に異様な熱中 無茶な動員と金品徴発で民衆の不満高まる

5/20(月) 5:41配信

アジアプレス・ネットワーク

◆革命の聖地に観光特区を建設せよ

北朝鮮政府が国連機関に緊急食糧支援を要請し、世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)が、今年137万トンが不足するとアピールしている一方で、金正恩政権が、不急の観光特区建設工事に全国から住民を動員し、食糧や現金の寄付を住民に強要していることが分かった。(カン・ジウォン)

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建設中の観光特区は、北部の両江道三池淵(サムジヨン)郡にある。名勝白頭山の麓で、故金正日氏が生まれた聖地とされている(実際はロシア沿海州生まれ)。

金正恩氏は2016年末に、「革命の聖地を国際的な一級観光地として建設せよ」と命じ、翌年から工事が始まり、以来、最優先の国家建設プロジェクトとなった。昨年、金正恩氏は3回も工事現場を指導、この4月にも現地を訪れている。大変な熱の入れようだ。

しかし、昨年、経済制裁によって資金難と建設資材の不足が顕著になり、目標としていた2018年中の完工予定は延期。今年9月9日の建国記念日までに完成させるとして、突貫工事が続いている。

◆工事現場に常時数万人が動員
そのしわ寄せは住民に向かっている。一つ目は労働動員だ。複数の両江道の取材協力者が現地に入って取材したところ、人民軍の建設部隊が投入されている他、「2.16突撃隊」という建設組織が作られ、全国から選抜された労働者や学生が6カ月交代で働かされている。その数は、厳冬期を除いて、常時数万人に及ぶとみられる。現地ではテント暮らしを強いられているとのことだ。

次に住民の大きな負担になっているのは、食糧の他、現金や物資の供出だとして、取材協力者は次のように述べる。

「『突撃隊』には、白米とトウモロコシに野菜汁程度だが食事がちゃんと出ていた。そのための食糧は各道が出すことになっていて、一般住民が支援を強いられている。また、現金とコメ、建設作業に動員された人たちが使う手袋や作業着を出せと言われる。額や量は決められておらず、『自発的に誠意を見せよ』というやり方だ。しかし、あれを出せこれを出せと、人民班長が毎日のように家訪ねて来るし、競争を促すため支援実績のグラフが張り出されている」

三池淵郡への電気の集中もひどい。両江道では住民地区への電気供給は、昨年11月から完全に止まった「絶電」状態が6カ月も続いている。幹部は「三池淵特区の工事を支援するため、電気はすべて回している」と説明しているという。

「冬季に現地に行って内装工事現場を回ったが、セメントが凍らないうちに乾燥させるため、電熱コイルで壁を温めていた」と、調査した協力者は述べる。

◆大学卒業生を強制配置
また、人口が少ない山麓の僻地に都市を作るため、三池淵郡へ無理な移住=「進出志願」を進めている。恵山医科大学の今年卒業の学生は、全員が強制的に三池淵への配置されることになったとして、協力者は5月中旬に次のように報告してきた。

「新しいアパートを建て、現代的な新病院まで作るそうだが、あんな僻地の農村で暮らしたい若者がいるだろうか? 学生の親たちは不満が強く、娘の場合は急ぎ結婚させて他所に出したり、病気を理由に忌避しようとした。すると当局は、学生たちの居住地移動手続きを個人でやることをやめさせて、大学で一括して、三池淵郡に『無理配置』しています」

今、北朝鮮は苦境に立たされている。経済制裁で輸出の9割を断たれたところに、昨年の農業の不作で、世界に食糧支援を頼まなければならない状況だ。にもかかわらず、まったく急ぐ必要のない観光地開発工事に金正恩氏は固執している。

経済制裁下でも、自力で経済建設をうまくやっているとアピールすることが目的だろう。そのしわ寄せは、ずっと負担を強いられている住民に向かっている。

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最終更新:5/21(火) 10:11
アジアプレス・ネットワーク

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