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フェミニズムが世界で最も遅れている国は…デンマーク?

5/20(月) 15:32配信

The Guardian

【記者:Richard Orange, Pamela Duncan】
 デンマークは、世界で最も女性が暮らしやすい国の一つだ。男女の賃金格差は低く、雇用における男女平等の権利が認められ、保育園は充実しており、退職後の生活を世界一ハッピーに送っている女性たちも一部いる。だからこそ、ジェンダーや男女平等の権利、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の告発運動「#MeToo(私も)」への意見を問う世界的な調査で、デンマークが先進国の中で最もフェミニズムが浸透していない国だと分かったことは驚きの結果だった。

 この調査は英調査会社ユーガブと英ケンブリッジ大学、ガーディアンが合同で行っているもので、主要23か国の2万5千人以上が対象になっている。それによると、自らをフェミニストと見なすデンマーク人はわずか6人に1人で、3人に1人は女性が路上で男性から口笛を吹かれるなどの行為は許容されるべきだと答え、また5人に2人は「#MeToo」運動に批判的であることが分かった。

 さらにデンマーク人のうち、自らをフェミニストだと見なす女性はわずか4人に1人だった。半数近い46%の女性が自身をフェミニストだと見なしている隣国スウェーデンとは対照的だ。この割合は、男女平等に関してデンマークに大きく後れを取っているイタリアやスペイン、英国より低かった。

 実際、デンマーク女性の間では、路上で男性から口笛を吹かれる方がフェミニストと呼ばれるよりはましだと考える割合が多い。女性のうち、実に3人に1人はこのような態度を許容しており、ナイジェリアに続き、調査対象国の中で2番目に高い水準だった。

 デンマークにあるロスキレ大学のリッケ・アンドリーセン情報学教授は、デンマーク人が程度の低い性的嫌がらせを許容するのは、当人に悪気がなければ大目に見るべきだという考えがあるためだと指摘する。

「デンマークには、わざとでなければ、人種差別や性差別とは見なさないという文化がある」とアンドリーセン教授。「『ふざけていた』という理由であれば、女性の体をつかんでも許され、そんなに悪いことではないと認識され得る文化なのだ」

 こうした傾向は、デンマークでの「#MeToo」運動に関する論争が、エーレスンド海峡を渡った先にあるスウェーデンと大きな違いを生み出す要因になっているのかもしれない。

「#MeToo」運動に対し、「大いに賛成」と回答したデンマーク人は、男性はわずか4%、女性は8%。一方、スウェーデンではその割合は男性16%、女性34%で、調査対象となった23か国の平均は男性19%、女性は24%だった。

 アンドリーセン教授は「#MeToo」運動に関する自身の研究で、スウェーデンのメディアはこの運動を政治的な問題として取り上げたが、デンマークでは新聞の文化・意見欄で触れられただけで、告発された男性もほとんどいなかったことが分かったと述べた。

「デンマークでは多くの人たちが、本当に女性たちはセクハラを受けているのか、過敏なだけではないかと議論している」とアンドリーセン教授は言う。「そうした議論で特に着目されるのは、冤罪(えんざい)だった場合、告発された男性はどうなるのかという点だ」

 アンドリーセン教授は、ハラスメントを問題視することを嫌がる傾向は、デンマークの政治家の主張が影響しているのかもしれないとみている。政治家たちは、女性虐待は、国内在住のイスラム教徒の間にしかみられないと主張してきたからだ。

「でも、私がこう言っていたとは人に言わない方がいいかもしれない。その理由はもう一つある」と、アンドリーセン教授は笑いながらこう続けた。「もしかしたらデンマークは、単にミソジニー(女性嫌悪や女性蔑視)の国なだけなのかもしれない」【翻訳編集:AFPBB News】

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:5/20(月) 15:40
The Guardian

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