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ファンタジー・シミュレーションRPGの名作『ラングリッサー』シリーズがスマホに登場。オリジナルへの愛が感じられて好感触【レビュー:ラングリッサー モバイル】

5/20(月) 11:30配信

電ファミニコゲーマー

 セガのハードを中心に展開された、光と闇の魔剣を巡るファンタジー・シミュレーションRPG『ラングリッサー』シリーズ。
 戦略性の高さ、分岐するストーリー、育成の多彩さに加え、美男美女ぞろいで「色気」が強めなキャラクターデザインでも知られる、1990年代の人気作です。

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 そんな『ラングリッサー』のソーシャルゲーム版が、iOS/Androidで公開されました。
 『ラングリッサー モバイル』です。

 開発は中国のメーカー「紫龍」(正式名:天津紫龍奇点互動娯楽有限公司、Zlong Game)で、国外のメーカーが原作をちゃんと再現してくれるのか心配されていましたが、むしろ『ラングリッサー』に対する愛情を感じる内容で、技術的なクオリティも非常に高いです。

 ストーリーが重視されており、オリジナルキャラクターによるメインストーリーはもちろん、過去作の物語を追体験するモードも含まれていて、どちらも会話シーンのセリフはほとんどボイス付き(もちろん日本の声優)。
 比較するのは良いとは言えませんが…… ストーリーの魅力や演出に乏しかった『ファイアーエムブレム ヒーローズ』と比べると、その点の力の入れようは段違いです。

 ストアレビューには「Lv25~Lv35の難易度バランスがおかしい」という意見が多いですが、少なくとも現在(5月以降)は、言われるほど厳しいという印象ではありません。

 ただしオリジナルの『ラングリッサー』と同様に、相応に戦略性と難度が高めのゲームで、他の簡単なソーシャルゲームとは同じように考えないほうが良いでしょう。
 ややゲーマー向けで、日本の多くのソシャゲとは少し異なります。

 アプリ本体は無料ですが、ソーシャルゲームですので課金・ガチャ・スタミナが存在します。

 IPモノのソシャゲによくある「オールスター」なゲームで、ガチャから過去作のさまざまなキャラクターが出て来ますが、本編の物語はオリジナルのキャラによる、新作のストーリー。
 『ラングリッサー』は(派生的な作品を除くと)『I』~『V』まで発売されていますが、今作はそれらより後の時代になります。

 原点に戻ったかのような、「聖剣ラングリッサー」と「魔剣アルハザード」を巡る光と闇の戦いを描いた、戦記ファンタジーで少し古風な物語が展開され、ちゃんとワールドマップや背景付きの会話シーンが用意されています。
 前述したようにメインシナリオはフルボイスで、セリフ量も多め。

 日本のソシャゲにありがちな、リストからクエストを選ぶだけといった味気ないものではありません。

 そしてメインストーリーに加え、過去作のストーリーも楽しめるようになっています。
 「時空の裂け目」というモードで、まずは「ラングリッサーII 光輝ルート」の一連のステージをプレイすることになり、さらに「ラングリッサーII 帝国ルート」、「ラングリッサーI」、「ラングリッサーIII」のステージが登場します。

 ダイジェスト版と言えますが、「ラングリッサーII 光輝ルート」には前編・中編・後編にわかれた21のステージがあり、その合間に小さなステージも挟まれていて、これだけでもボリュームは十分。
 もちろんこちらも会話シーンはフルボイス。
 原作未プレイでも、物語の背景や各キャラの出自などを知ることができます。

 メインストーリーと「時空の裂け目(過去作モード)」は平行して進めるようになっていて、「時空の裂け目」をある程度まで進めていないと、メインストーリーは途中で進められなくなってしまいます。

 ゲームが進めばサブクエスト(ワールド事件)や特訓クエスト、PvP戦であるアリーナなども追加され、プレゼントで各キャラの親密度を上げるとキャラ別クエストもプレイできるようになります。

 戦闘シーンは四角いマスの上に配置されたユニット(コマ)を動かして、敵のユニットを攻撃していくターン制の戦略シミュレーションゲームの形式。
 『ファイアーエムブレム』や『ファミコンウォーズ』と同じスタイルです。

 インターフェイスに優れていて、タッチパネルでも快適に操作でき、敵の移動範囲や攻撃範囲を簡単に確認可能、攻撃を受ける可能性がある「危険範囲」も表示できます。
 これらは『ファイアーエムブレム ヒーローズ』でも確認できましたが、それと同様の情報表示の良さを備えます。

 他のゲームと異なるのはユニット構成で、HP制ではありますが、ひとつのユニットがひとりの英雄と、10人の兵士で成り立っています。
 ダメージを受けるとまず兵士が減っていき、これにより攻撃力が減少。
 しかしHPの半分ほどは英雄が受け持っていて、兵士が全滅しても英雄はなかなか倒れません。
 そしてHPを回復させれば、その割合に応じて兵士も(つまり兵士分の攻撃力も)復活します。

 最初は英雄が剣士なら、兵士も剣士なのですが、キャラクターを育成すれば異なる兵士を率いられるようになります。
 たとえば、英雄は剣士、兵士は槍兵、という組み合わせも可能で、この場合は兵士が全滅するまでは槍兵の属性で、全滅してからは剣士の属性で防戦することになります。
 剣士は槍兵に、槍兵は騎馬に、騎馬は剣士に強く、敵に合わせた兵士の選択も必要です。

 育成の自由度が高いのも『ラングリッサー』シリーズの特徴。
 他の多くのSRPGはキャラが歩兵なら、最後まで歩兵であることが多いですが、このゲームは「クラスチェンジ」により異なる職業に変化させることができます。
 キャラによっては騎兵が弓兵になったり、飛行型になったりすることも。

 そして選んだ職業によって習得するスキルと、率いられる兵士が変わります。
 よって同じキャラを持っていても、人によってユニットの性質は異なります。

 ツリー形式の「兵士の訓練」も用意されていて、ユニットの強さは「英雄の強さ+兵士の強さ」なので、こちらも重要。
 さらに装備と、装備の強化、装備への特殊効果の付与もあり、多彩な育成要素が用意されています。

 複雑そうですが、ゲームの進行によって徐々に追加されていく形なので、わかりづらいということはありません。
 ソーシャルゲームであるため、困惑しているライトユーザーも少々いるようですが。

 ストアレビューで批判が多い「Lv25~Lv35の難易度バランスの問題」についてですが……。
 このゲームはLv25まではスムーズに進められるのですが、その辺りから敵のレベルが追い付いてきて、苦戦しはじめます。
 そしてLv30になると「ワールド事件」と呼ばれるサブクエストの敵のレベルがプレイヤーよりも高くなり、正面からぶつかっても勝てなくなります。

 このゲームはレベルによる戦力差が大きく、相手のレベルが2~3ほど高いと苦戦は免れません。
 プレイヤーがLv30のときにサブクエストの敵のレベルが32、Lv35のときに37になるため、ここで多くの人が行き詰っているようですが……。

 でも、ある程度のところで育成しないと勝てなくなるのは、ソーシャルゲームではよくある話。
 ソシャゲは最初は簡単にして人を集め、しかしずっと簡単なままではすぐに終わってしまうので、途中から難しくして長期的な育成を要求する、というパターンが多いです。
 このゲームだけが特別なわけではなく、私自身、実際にLv35以上までプレイしていますが、そこまで無理な難易度という印象はありません。

 「敵が強すぎて『ワールド事』"をクリアできず、デイリーミッションをこなせない」という意見も見られますが、ワールド事件の中には敵と戦わなくてもクリアできるものがあり、そうしたものをこなせば達成可能です。
 訓練用のクエストは敵のレベルを選択できるので、自分の強さに合わせられます。

 ただ、このゲームは日々のプレイで着実に強くなっていけるシステムである反面、早急に強くするのは難しく、行きづまった人がすぐに対処できないのも批判の要因であるようです。

 このゲームのキャラクターのレベルは「プレイヤーレベル」以上にはならず、そしてプレイヤー経験値の入手量はスタミナの消費量と同じ。
 クエスト達成によるボーナスもありますが、基本的にはスタミナを100使ったら、経験値も100です。
 プレイヤーレベルが上がるペースはほぼ決まっていて、そのためキャラクターも集中的にレベルアップさせることはできません。

 課金通貨でスタミナを回復すれば進行を速められますが、回復を繰り返すほど通貨の消費量が多くなるうえに、回数の制限もあります。
 「意地でもゆっくりやらせたい」という意図を感じますね。

 こうしたゲームの進行を運営が半強制するシステムは、ソシャゲではたまに見られるのですが、たいてい批判されます……。
 今作もそのひとつ、といったところ。

 しかし、日々のデイリーミッションをこなしながら、ノンビリやるぶんには問題なく、むしろ気合を入れて何度もバトルを繰り返さなくても、一定のペースでスムーズに育成できます。
 「そういうゲームなんだ」と思ってプレイするのが良いでしょう。
 ストーリーに力が入っているだけに、早く先を見たいというのもあったりしますが。

 原作に対するリスペクトと、開発側の意気込みを感じられる作品です。
 昨今の日本のソーシャルゲームは成熟しすぎている感がありますが、中国のゲームには『アズールレーン』でも見られたような情熱を感じるものがあり、これも同様です。

 中国のソーシャルゲームには「VIPシステム」と呼ばれる、課金するほど有利になる制度があったりしますが、そうした日本では敬遠されそうなシステムは今作には見られません。
 メインキャラには有料のスキン(衣装)がたくさん用意されていて、そちらでの収益を考慮している点には、中国らしさを感じます。
 一方で、課金通貨の配布量が多く、無課金でもガチャをしまくれます。

 元が1990年代のゲームですし、普段あまりゲームをしない人には向いていないかもしれませんが、相応のゲームプレイヤーで、特にSRPGが好きな人なら、長く楽しめる作品でしょう。

ラングリッサー モバイル

名作シミュレーションRPGの新展開となるソーシャルゲーム

・シミュレーションRPG
・Zlong Game(中国)
・ソーシャルゲーム

文/カムライターオ

電ファミニコゲーマー:カムライターオ

最終更新:5/20(月) 11:30
電ファミニコゲーマー

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