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野島伸司×清水一幸P、話題作『百合だのかんだの』は時代の変化から生まれた

5/21(火) 11:31配信

マイナビニュース

今のテレビは、お年寄りが大票田になってしまう

野島伸司脚本、フジテレビが運営する動画配信サービスのFODで5月24日から配信される、ドラマ『百合だのかんだの』が話題になっている。馬場ふみかが主人公の篠原百合、小島藤子が親友の二宮海里を演じ、女子同士の少しあぶない友情を描く同作は、配信が発表されると、2人のキスシーンも衝撃を呼びTwitterのトレンドランキング入りした。

また同作を手がける清水一幸プロデューサーは、『ポルノグラファー』で男性同士の恋愛ドラマをヒットさせた。2人のタッグはこれまでにも数多く生み出されているが、なぜ今回は女性同士の結びつきをドラマにしたのか話を聞いた。

■若い女性は友達同士を気にしている?

――『パパ活』(17年)、『彼氏をローンで買いました』(18年)に続いて、FODと野島伸司さんとがタッグを組んだドラマ『百合だのかんだの』が5月24日から配信スタートします。まずは、この企画の経緯を聞かせてください。

清水:『パパ活』があり、『彼氏をローンで買いました』があって、また野島さんと一緒に作りましょうとなった時に、この企画が生まれました。たしか、野島さんから具体的な内容よりも先にタイトルが出ていたかと思います。

――タイトルに「百合」とあるように、主人公の百合に対して、友情以上の感情を持っている海里との関係がピックアップされています。これは、近年『おっさんずラブ』(テレビ朝日・18年)だったり、FODで配信された『ポルノグラファー』(18年)などのヒットは意識されていますか?

野島:このドラマは、女性同士の恋愛を超えた友情をテーマにしています。僕の周囲でも、離婚したり、あるいはずっと独身でいて、年齢を重ねた女性たちが「最後は女子同士で暮らそうね~」なんて言ってたり。男女って本質的にはわかりあえない種族だから(笑)。最後に幸せになりたかったら、わかりあえる種族同士がいいんじゃないかな?

清水:たしかに、『ポルノグラファー』のヒットの話はしましたね。とはいえ、「その女性版を作ろう」ということにはなりませんでした。野島さんが書いてくださるのであれば、新しい形の方が面白いと思いますし。それよりも、現代の若い女性は、恋人よりも友達同士の関係性を気にしているように見えるとか、そういった話を野島さんとしていて、そこから着想を得た形ですね。


『百合だのかんだの』馬場ふみか、小島藤子 (C)フジテレビ


野島:だから、このドラマで描いているものは、中学生くらいの頃に女子同士で一緒にトイレに行ったような感覚に近いのかもしれないとコンプライアンス的には言っておきますか(笑)。

清水:ドラマにも、友情の証である、おそろいの「友リング」のようなモチーフが出てきます。そういう「お友達感覚」の延長線上ですよね。最近、街でも女の子同士で腕を組んで歩いている子たちなんて、沢山いるじゃないですか。

野島:多様化した現代だからいろいろな価値観を許容し、肯定することが必要となっていく。「イイ男がいたら共有する」くらいのところまで、いくんじゃないかってくらいだよね(笑)。

■皆が同じ価値観じゃなくて良い時代になってきた

――時代の空気を読みとった結果、「女性同士」をテーマにしたドラマが生まれたんですね。

野島:昔と違って「恋愛」のプライオリティーが1番という時代ではないし、皆が同じ価値観じゃなくて良くなった。そうなると、地上波の、とくにゴールデンタイムのドラマは難しいんだよね。なるべく最大公約数の価値観を見せて、視聴者を取りこぼさないようにすることが優先されるから。

――センセーショナルな作風で知られる野島さんですが、地上波に「最大公約数の価値観」に、脚本家として息苦しさを感じますか?

野島:それは感じますね。特に僕のような“デンジャラス系”のような脚本家は、また「やらかすんじゃないか」と思われて局の監視の目が厳しくて(苦笑)。かつては、エンタメの選択肢が少なかった。僕がデビューした頃は、「F1層を征すれば、テレビを征す」という時代。大票田が若かったんだよね。今はお年寄りが大票田だから、仮に昔のようなセンセーショナルなドラマを作ったとしても、難しいんじゃないかな。配信ドラマはその逆なんだよね。


――本作は、FODで配信されていますが、女性ユーザーが多いと伺っています。

清水:10~30代の女性が大半ですね。

野島:さっき話したような「F1層」だよね。昔に比べて、パイそのものは小さいかもしれないけれど、理想的な視聴者層といえる。今更地上波ゴールデンで番組が成功したとしても、自分にとってはあまり意味のないことだから。それよりも若いビビッドな感性を持っている視聴者がいる方にいった方が面白い。

清水:例えば、いきなり地上波で『パパ活』というタイトルのドラマを放送するのは難しいのでは? と作る方も勝手に判断してしまったりします。でも、一度配信をして反響を確認すると、その後結果的に深夜枠で地上波でも放送することができました。

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最終更新:6/5(水) 11:33
マイナビニュース

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