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引っ込み思案? 家の外だと話せない「性格だと…」 苦しみの末、24歳で知った「場面緘黙」

5/24(金) 7:00配信

withnews

 家では家族と話せるけど、外に出ると話せなくなる「場面緘黙(かんもく)」。学校の授業であてられても声が出せず、「話さない子」というレッテルに苦しむ当事者。大人になってから自分が場面緘黙だと知った男性は「もっと早く知りたかった」と悔やみます。症状の認知が広がっていないため、「恥ずかしがり屋」「人見知り」と見過ごされているケースも多いそうです。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)

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言いたいことはたくさんある、でも…

 「ずっと自分の努力不足だと思っていました」と小さな声で話すのは、四国地方に住む男性(31)です。

 男性は物心ついた頃から、家の外で声を出すことができませんでした。家では自由に家族と話せるのに、小学校では先生にあてられても答えることができず、国語の朗読もできなかったといいます。

 言いたいことは頭の中にたくさんあります。投げかけられた質問や周囲の話を聞いて、自分の中では何通りも答えを考えているけれど、声に出すことができないのです。

 あるとき、「これ以上ないくらい勇気を振り絞って」声を出してみると、「しゃべった!」とクラスメイトに囲まれました。クスクス笑い合っているのが見えたり、「『あ』って言ってみてよ」と言われたり。男性にとって、話すハードルはどんどん上がっていきました。

 「声を出して、自分に注目が集まると思うと怖くて話せなかったんです」

「食べるときは口を動かせるんだね」

 小学校の低学年の頃は、休み時間にクラスメイトと話すことができていました。ところが、高学年になるといじめの標的に。言い返せない男性に向かって、周囲の男子児童は悪口を浴びせました。

 「口ついてるの?」ーー。当時男性が記録していたメモを見ると、ある日の帰り道に言われた悪口の数は「412」。「自分なりに、悪口を言う人の傾向がわかったら対処できるかもしれないと考えたんだと思う」と、メモに目を落とします。

 男性は次第に休み時間も話せなくなり、「友だち」と呼べる人はいなくなりました。「食べるときは口を動かせるんだね」。そう言われて、学校の給食を食べることもできなくなってしまいました。

 「周りの子どもが話せるのは、努力をした結果なのだと思っていました。これは自分の『性格』で、努力が足りていないのだと」

 大学生になって、自身が「場面緘黙(かんもく)」であることを知るまで、男性はずっとこの症状に苦しんできました。

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最終更新:5/24(金) 8:43
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