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<北朝鮮内部>中国貿易大不振で「上納金」払えぬ商社続出 食堂営業に乗り出し庶民と対立

5/21(火) 5:10配信

アジアプレス・ネットワーク

◆金正恩氏の統治資金も打撃

北朝鮮でもっとも羽振りがいいのは誰か? 幹部を除けば貿易会社の社員らだというのが、住民たちの共通した意見であった。だが、それも2年前までのことだ。(カン・ジウォン)

【写真特集】 のり巻きにそば、「人造肉」まで。これが大人気の北朝鮮の個人食堂だ(7枚)

経済制裁によって、2018年の中国との貿易は、前年比で半分以下に縮小、特に輸出は88%も減少した。今年に入って、追い打ちをかけるように中国当局が通関検査を厳格化した結果、1-3月の対中輸出は昨年に比べてさらに20%も減った。

おまけに中国当局は国境密輸の取り締まりも強化。貿易会社はお手上げ状態である。人民武力省傘下の強盛(カンソン)貿易会社や、金正恩氏の統治資金を作る労働党「39号室」傘下の「モラン会社」までが、地方支社の閉鎖や人員整理に追い込まれていた。

貿易会社には、「課題」と呼ばれる国家への上納金のノルマがある。国際社会の制裁が本格化した2018年、中国に駐在する貿易会社の幹部たちから悲鳴が上がっていた。平壌から要求される上納金ノルマの圧力に苦しめられたのだ。海外駐在の商社員の中には、処罰を恐れて逃亡する者も現れていた。

北朝鮮当局は、2月の朝米首脳会談が物別れに終わって制裁解除の目途が立たなくなると、ついに貿易機関の「課題」を相次いで減らしている模様だ。貿易会社の事情に詳しい両江道恵山(ヘサン)市の協力者は、5月中旬、内部の状況を次のように伝えてきた。

「恵山地域で活動している貿易会社は、どこも昨年の利益が計画額を30%ほど下回ったが、今年はさらにその半分になっている。政府としても、もう責任追及や、「幹部事業」と呼ばれる、批判や左遷、解職などの処罰もできなくなってしまった。恵山市に拠点を持つ大手の「白頭密営会社」の場合、国家が認める中国との密輸を担って、制裁下でも昨年は7万ドルを国に上納したが、今年は5万ドルも困難だろう」

◆貿易見切って食堂経営に乗り出し庶民と衝突
この協力者によれば、中国への輸出で稼いできた貿易会社の多くが、今、国内で食堂や商店の経営に乗り出しているという。資金を持つトンチュと呼ばれる新興成金と組んでのことだ。

そのあおりを受けているのが、庶民が市場そばの道端や、自宅で営んできた小規模な個人食堂だ。「反社会主義的だ」という名目で、続々営業禁止になっている。

市場経済が拡大した北朝鮮では、配給も給与も出ない国営企業勤めを見限り、賄賂を払って出勤したことにしてもらって、商行為で暮らす人が膨大に生み出された。代表的な稼ぎの方法は食品商売だ。自家製のパンや餅を路上で売ったり、自宅を食堂にして料理を出したりする。

個人の経済活動が統制される北朝鮮では、これは厳密にいえば不法商売だが、美味しい店は評判を呼んで繁盛し、電話で注文を受けて出前する人気店まで出現していた。そこへ、貿易不振で苦しい商社や国家機関が食堂事業に乗り出してきた。国内で流通している金を吸い上げてノルマを達成しようというわけだ。

商社にとっては、個人営業の食堂は強力な競争相手だ。昨年から全国で当局による取り締まりが厳しくなり、個人食堂は次々に縮小、閉鎖に追い込まれている。何もしてくれない国家を頼らず、自力で稼いできた庶民が窮地に追いやられているわけだ。

「権力が民衆を食べられなくしている」と、強い反発を生んでいる。

最終更新:5/21(火) 10:44
アジアプレス・ネットワーク

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