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がんは治る時代に…それでも患者が抱える再発、進行への不安

5/21(火) 17:00配信

Medical Note

「不治の病」と思われていた時代とは違い、がんは治療法や薬の進歩で治る病気になってきました。ただ、そうした治療で病巣が見えなくなったとしても全身に潜んでいる可能性があり、実際に治ったと判断されるまでおおむね5年程度経過をみる必要があります。また進行したがんの患者さんも、さらに病気が進行していくのではないか、という不安を抱えています。今回は、がん患者さんが抱える不安とその対処法について考えます。【名古屋市立大学精神・認知・行動医学分野教授・明智龍男/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇がん患者の3人に1人に「こころの問題」

「現時点では、完治とは言えません、と先生に言われました。ということは、こんな苦しい闘病生活や、もしかしたら死が、いつ自分に訪れるか分からないということですよね」。乳がんの手術を半年前に受け、その後の化学療法も最終段階に入っている50歳代の女性患者さんがそうした心情を吐露しました。

厚生労働省の研究班(「がんの社会学」に関する合同研究班)がわが国のがんの患者さん4054人を対象として、患者さんが抱える悩みのサーベイランスを行い、その報告書が2016年に公表されました。そこで示されている悩みで最も頻度が高いものは「不安」などのこころの問題で、およそ3人に1人の患者さんがこの問題を抱えています。中でも再発・転移の不安の占める割合が高く、がんの患者さんの生活における中心的な悩みであることが推測されます。

◇不安が体に現れることも

そもそも、不安とは何でしょうか。精神医学的に、不安とは「漠然とした未分化な恐れの感情」を指します(これに対して「恐怖」は、「明確な対象に対する持続的な恐れ」を意味します)。不確実な脅威に直面した際、言葉を換えれば先行きがはっきりしない恐ろしさを感じた時に、人は不安になるのです。まさにがん患者さんが置かれた状況そのものです。

そして、不安はこころだけでなく体の症状としても現れることがあります。そうしたものの1つがさまざまな「自律神経症状」で、具体的には動悸(どうき)、息苦しさや胸苦しさ、目まい、肩凝り、頻尿といった「身体的不安」として現れることはよく知られています。患者さんはこうした症状について「がんと診断されてから、何となく胸がつかえたような感じや息苦しさがあります」といった表現で、不安をお話しになります。

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最終更新:5/21(火) 17:28
Medical Note

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