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「遺骨を返せ」 京大に持ち出された「琉球人遺骨26体」返還訴訟始まる 京大は争う姿勢(栗原佳子・新聞うずみ火)

5/21(火) 11:50配信

アジアプレス・ネットワーク

琉球人の遺骨返還を求める初めての訴訟が京都地裁で始まっている。旧京都帝大の人類学者が1929年、沖縄県今帰仁村にある「百按司墓(むむじゃなばか)」から遺骨を持ち出した問題で、子孫ら5人が遺骨を保管する京都大学に返還と損害賠償を求めているもので、京都大側は全面的に争う姿勢を示している。 (新聞うずみ火・栗原佳子)

◆琉球王朝の子孫らが訴え

「百按司墓」は琉球式の風葬墓で、今帰仁城(ぐすく)に拠点を置いた琉球統一前の北山王国時代や、統一王朝を建てた第一尚氏時代の貴族らを葬ったとされる。原告は第一尚氏の子孫の玉城毅さん、亀谷正子さんの2人と、照屋寛徳衆院議員、沖縄出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授、彫刻家の金城実さんの合わせて5人。

訴状などによると京都帝大助教授だった金関丈夫氏(故人)は子孫や地域住民の了解を得ず、百按司墓から遺骨を持ち出し、26体を「人骨標本」として京都帝大に保管。原告は京都大に返還や情報開示を求めてきたが拒否され、昨年12月、提訴した。

原告側は、第一尚氏の子孫は墓の所有権を有する民法上の「祭祀承継者」と主張、沖縄出身の3人の原告とともに所有権、憲法に基づく民族的、宗教的自己決定権があり、それらを侵害する京都大の対応は違法だとしている。

原告団長の松島教授は、「琉球民族は遺骨を親族の墓で埋葬し、先祖供養の儀礼で祖霊と交流して先祖と子孫との絆を強めてきた。琉球民族にとって遺骨は先祖のマブイ(霊魂)が宿るもの。遺骨そのものが『骨神(ふにしん』として崇拝の対象とされている。博物館の冷たい棚に置かれ、DNA調査で破壊される恐れがあるご先祖の遺骨を我々のやり方で再風葬してマブイ(霊魂)を供養したい。子孫としての義務であり権利」だと訴える。

◆京都大学は「違法な盗掘ではない」と主張

今年3月の第一回口頭弁論で、被告の京都大は、当時の沖縄県庁等から許可を得たことなどを根拠に「違法な盗掘ではない」と主張、請求の棄却を求めた。原告が主張する「祭祀承継者」についても、「百按司墓の祭祀葬祭者は絶えていた」などとした。

これに対し原告側は5月17日にあった第二回口頭弁論で反論、「一族の血縁の人々による『今帰仁上り(ヌブイ)』という聖地の巡拝が行われており、百百按司墓は重要な巡礼地である」などと主張した。

この日は原告の玉城さんの意見陳述も行われた。玉城さんは「何の疑いもなく百按司墓に参拝してきたが、祖先の遺骨がなくなったことを知り、心に穴が開いたような気持ちで手を合わせている。大変屈辱的で虚しい。遺骨の返還は、琉球人の尊厳、誇りを取り戻すこと」などと訴えた。

玉城さんは、国立台湾大(旧台北帝国大)が3月、金関氏が持ち出した33体を含む63体の遺骨を沖縄に返還したことに言及、「琉球人骨を子孫に返還するのが世界の潮流。京都大も台湾大を見習い、先祖の遺骨を返還すべき。遺骨を取り戻し、百按司墓で心安らかに休むことができるようにしたい」とも述べた。

遺骨の持ち出しは、1879年の琉球併合後、警察を含む行政、教育関係の上層部の大半を日本人が占めるという体制下で行われた。

アイヌ民族の遺骨についても同様で、文部科学省の調査では12大学で1600体を超す遺骨が保管されているという。アイヌ民族の遺骨をめぐっては北海道で2件の返還訴訟が提起され、北海道大は和解し、遺骨返還に応じている。

閉廷後、原告らは報告集会を開催。丹羽雅雄弁護団長は「戦後も継続する歴史的、構造的な差別、植民地主義を撃つ訴訟だ」とあらためて訴訟の意義を強調した。(栗原佳子・新聞うずみ火)

最終更新:5/21(火) 11:50
アジアプレス・ネットワーク

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