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心の叫びもおちゃめな振る舞いも、すべてがみのりんごらしい!“鈴木みのり 1st LIVE TOUR 2019 ~見る前に飛べ!~”レポート

5/22(水) 5:03配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

4月7日、Zepp Tokyoにて“鈴木みのり 1st LIVE TOUR 2019 ~見る前に飛べ!~”の東京公演が開催。ソロアーティストとして初となるツアーの公演とは思えない堂々としたステージングと、みずみずしさや愛嬌といった持ち味を生かしたボーカルで、自身もエンジョイしながら来場したすべてのファンを楽しませてくれた。

この日の客入れBGMは、鈴木自らが選曲。自身が声を担当するキャラクターの楽曲や、敬愛し楽曲提供を受けた坂本真綾ややなぎなぎなどの曲で“鈴木みのりのライブ空間”を作ると、「ヘンなことがしたい!」のイントロ中、曲に合わせてコールが上がるなか「OK!東京カモーン!」とドラムの後ろという意外な場所から登場。1サビではフロアを煽ってみせたり、2-Aメロを思い切りキュートにと、とにかく表情豊かな歌声でファンを魅了。お立ち台からジャンプしたり、大サビのロングトーンを思いっきり力いっぱい伸ばしたりと、1曲目から全力投球のステージングをみせる。続く「好きなものは好き!」はイントロに合わせてクラップで煽ると、「ドキュンバキュン」のコールに合わせて指鉄砲でフロアを撃ち、さらにキュートに振ったボーカルで歌唱スタート。間奏ではファンと一緒にコールを交わしてさらにボルテージを高めると、頭上クラップをしながら跳ね歩いてみせた。

曲明けの初MCゾーンでも、満面の笑みで楽しみまくる鈴木。女性エリアの歓声を受けた際には「男の子になってアイドルになりたかった」と語るなど、喜びを隠せない様子。続く、「半音階のレジスタンス」では、楽曲にマッチしたガーリーなボーカルを披露。MCも挟んで緊張が解けたのか、声の伸びもより一段と良くなったように感じられる。加えてサイドステップを踏みながらのステージングや、時折衣装をひらりとさせる振付にも、歌声に通ずるキュートさがあった。鳴り出した雨音に続いて傘を取り出し、「大好きになってよかった」につながる演出。歌い出しには、いじらしさを漂わせると、少し絞り気味でのボーカルにもキュートさを香らせる。2番では、さらにそこに“好き”を前面に出したかわいげを乗せてファンをとりこにすると、大サビ前のセリフも実にキュートに決め、とにかく“かわいらしい女の子像”を見せる1曲となった。そのまま鳴り出したオルゴールのようなグロッケンがイントロの「わたしはわたしになりたい」は、一転浮遊感あるナンバー。サビの歌声に強さが宿っているのは、今の彼女が進んでいく理想に向けて決意を含んでいるからではないだろうか。また、落ちサビの、ぽつりとした入りからクレッシェンドで盛り上がっていく部分は、この曲のみならずライブ全体においても聴きどころだったように思う。

この3曲を振り返るMCでは、「大好きになってよかった」について「雨の日の下校途中をイメージしながら書きました」と裏話を明かすと、福岡公演の際に、そのタイトルと似た「明太子を作ってよかった」というフレーズの看板を見たことをきっかけに、即興で歌を作って歌唱した――という話題へ。それがスタッフに好評だったことを受け、東京でも続編となる(?)「もんじゃ焼きを作ってよかった」を作ることに。こちらはライブ終盤で「明太子を――」の2番扱いで歌唱され、「ファンクラブでなにかできないかな?」とさらなる展開への意欲も見せていた。また、「わたしはわたしになりたい」の作詞について触れ、「自分の経験値を上げて、作詞をしたものが誰かの日常を支えるなにかにできるように、これからももっと頑張っていきたいです」と結ぶと、続いてはアコースティックコーナーへ。

「いちばん最後の夏」では夕暮れ時のような照明効果のなか再び曲に入り込むと、溜めをたっぷり用いたりもしながら大事に大事に情感を込めて歌唱。ビブラートも要所で非常に深く入っており、それでいて引くところは引いた歌声になったりと、表現の幅の大きな1曲になっていた。続いては、2曲連続で『マクロスΔ』曲。まず「God Bless You」ではピアノの音色をバックに、歌い出しから温かな歌声を響かせる。それでいてサビの歌声には、芯とまっすぐさが感じられた。さらに「せっかくなのでワルキューレのライブではできないアレンジを披露したい!」と宣言してからの「ルンがピカッと光ったら」は、鈴木自身もタンバリンを手にしての歌唱。リズムも2ビートアレンジで特別感があり、フロアでもそのリズムに合わせてのクラップが上がる。ステージ上を走り回ってお立ち台に飛び乗ったりと、持ち前のフリーダムさも見せた。最後はもちろん会場一体となっての「ゴリゴリアターック!」で締めくくる。

続くMCでは、客入れBGMについて、「声優としての私も知ってもらえたら、という想い」とのねらいも明かした。そして、歌手・声優としての活動のなかでかなえた夢についてと語ると、「夢をかなえたその先が大事。私は歌手と声優の両方をやりたくて、このふたつを100:100でやっていきたい。これからももっと夢を見つけていきたいです」とまとめ、その自らの“夢”にまつわる楽曲を続けて披露していく。

まずは、直前に楽曲提供を受けることが夢だったと語っていたやなぎなぎからの楽曲「astro traveler」から。浮遊感あるナンバーに合わせて、鈴木自身も甘めの歌声や透き通るようなファルセット、さらには宇宙遊泳するかのようなふわふわりとした身振りも含めて楽曲の世界観を表現。まさしく自身の言葉どおり、夢をただかなえただけではなく表現者としてひとつ形にして、“その先”を見せてくれた。続いては、同じくMCで語られた坂本真綾が歌詞を手がけた楽曲を2曲。まず「風は予告なく吹く」は、凛々しい表情でまっすぐ前を見据えながら、エモーショナルなフェイクも交えながら全開でロックバラードを歌い上げる。そこから今度は、「Crosswalk」で、優しさとあたたかさを感じられる歌声で、OPテーマに起用された『あまんちゅ!~あどばんす~』の世界感を表現してくれ、幸せな涙を流させてくれるような1曲を、生の空間で作り上げてくれた。

続く「リワインド」のイントロで客席2階にサプライズ登場! 満面の笑顔でフロア全体を見ながら歌い、1サビ後にメインステージに戻ると、今度はファンと一緒に巨大風船と戯れる。「CLAMP作品への出演と、主題歌の歌唱」という夢をかなえた曲もただ音源をなぞるだけではなく、みんなと楽しむための1曲としていた。キュートでガーリーなナンバー「おセンチなメンタル」では、時折お立ち台に座ってファンと距離近く歌唱したり、タンバリンを片手に跳ねながら歌って場内をさらに盛り上げる。また、この曲で特徴的だったのが後奏。鈴木のストップモーションと同時にバンドもフロアもストップし、一体感のある楽しさを引き続き作り上げていった。かと思えば、続けてアルバムのタイトルチューン「見る前に飛べ!」のイントロが流れた瞬間、鈴木の表情は一気に凛としたものに。シリアスでありながらも直前までの会場の熱を引き継いだ冒頭のセリフに始まり、荒く強く絞り出すようなサビ最後のロングトーンに至るまで、徹頭徹尾鈴木の想いは全開だ。

……と、そんな山場を超えたステージ上には、ラーメン台が登場。とくればもちろんお次は、デビュー曲「FEELING AROUND」。イントロ中にカップラーメンにお湯を注ぎ、サビでは冒頭から手にしていたネギに合わせて、フロアの緑のペンライトも左右に揺れる。ステージ上を走って跳ねてはしゃぎまくっていたが、全く息が切れていないところに、歌い手としての地力を感じたのは筆者だけだっただろうか。そして間奏中に、3分を告げるタイマーが鳴り響き、完成したカップ麺を食べて、食レポも挟んだところで「ちゅるっ♪」の決め台詞から大サビへ。大事なデビュー曲に、この曲ならではのエンターテイメント性をうまく絡めて、披露しきった。

そんな振り切った一面も見せたこの日のライブも、本編は残り1曲。それを前に「私自体好きなこともたくさんあるし、浮き沈みもある性格なので自分でも自分がわからないときもあるんですけど、ファンはアーティストの鏡って言うじゃないですか? だから、それぞれの方が、自由に楽しんでくださっているのが、私らしいライブだと実感しています!」と一礼。そして「私にとって、歌は私自身を確認するためのもの。これからも自分の大好きな歌を、その日その日思うように歌っていって、結果的に皆さんの心に届いていったらうれしいです。もっと成長して、芝居でも歌でも心を動かせるようになりたいです」と、今後についての想いを語ってくれた。
そして「この曲で、また明日から頑張る勇気を届けられたら」との言葉に続けて、「心が、青い。」へ。ファルセット成分多めに歌いだしたかと思えば、その歌声にはサビで一気にぐわっと開放感が。その起伏が、言葉により生々しさを与える。それはきっと、このときの鈴木みのりのリアルな感情が乗っていたからであろうか。また、大サビ前にはバンドの音が消えて声だけが残るほどの長いロングトーンも聴かせる。だがそれは「見る前に飛べ!」の荒々しさとは違い、心に染み渡る歌声だった。歌声の余韻に浸っているなか、後奏で鈴木はステージを降りた。

アンコールの歓声を受けてステージへと戻った鈴木は、アンコール1曲目としてカバー曲からスタート。毎公演違うという楽曲ラインナップだが、この日はやなぎなぎの「春擬き」をカバー。歌い回しにリスペクトが感じられつつも、しっかり鈴木らしさを前面に出ていた。特に彼女のボーカルの持つみずみずしさは、楽曲の持つムードや方向性に非常にピッタリだった。
そんな充実のカバーをコンプリートしたところで、突然「『心が、青い。』の1番を歌い直したい」と口にする鈴木。その言葉を受け、急遽“リベンジ”がスタートする。突然のため照明は青ベースの比較的シンプルな効果となっていたが、それがまたライブ感があった。「悔いなくやりたい」との想いからだと告白。改めて「どんどん成長できるようになりたい」と今後への意欲を語ると、本当のラストナンバー「ちいさなみのり」へ。最後までみずみずしい歌声に、この曲らしい温かみも乗せて歌唱する。最後はイヤモニを外し、フロアの声を聴きながら一緒にラララの大合唱。その空気をいっぱいに感じたところで、ジャンプエンドで楽曲を締めくくった。

ソロでの初ツアーにもかかわらず、最初から堂々としたステージを見せてくれた鈴木みのり。しかも公演中にどんどん気持ちが乗っていき、歌声もパフォーマンスも尻上がりによさを増していったところも、彼女の凄さを感じたポイントだった。そんなライブを通して改めて見えた、マジメだけれどもどこかちょっと掴みどころがない、言いようのない愛嬌という魅力。それを膨らませながら、 “歌手で声優”であり続ける鈴木みのりの成長は、まだまだ続いていく。

Text By 須永兼次
※写真は名古屋公演より

“鈴木みのり 1st LIVE TOUR 2019 ~見る前に飛べ!~”東京公演
2019.04.07@Zepp Tokyo
【SET LIST】
M1.ヘンなことがしたい!
M2.好きなものは好き!
M3.半音階のレジスタンス
M4.大好きになってよかった
M5.わたしはわたしになりたい
M6.いちばん最後の夏
M7.God Bless You(『マクロスΔ』より)
M8.ルンがピカッと光ったら(『マクロスΔ』より)
M9.astro traveler
M10.風は予告なく吹く(『マクロスΔ』より)
M11.Crosswalk
M12.リワインド
M13.おセンチなメンタル
M14.見る前に飛べ!
M15.FEELING AROUND
M16.心が、青い。
EN1.春擬き(Secret Cover Song)
EN2.ちいさなみのり

関連リンク
鈴木みのりオフィシャルサイト

最終更新:5/22(水) 5:03
M-ON!Press(エムオンプレス)

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