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AI導入が着実に進む国内企業、しかし利用用途は内向き

5/22(水) 7:40配信

MONOist

 IDC Japanは2019年5月21日、国内の「AI(人工知能)システム」市場予測を発表した。2018年の同市場規模はユーザー企業支出ベースで532億円と推定し、2023年までの期間に年間平均成長率(CAGR)が46.4%のペースで市場拡大が進むと予測している。

2019年調査と2018年調査におけるAIシステム導入状況の比較(クリックで拡大) 出典:IDC Japan

 同日に開催された記者会見では、IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーを務める飯坂暢子氏が登壇し、市場予測と国内ユーザー企業に対して実施したAIシステムの業務導入に関するアンケート結果について解説を行った。

 同社はAIシステムの定義について、機械学習をベースとし人間の意思決定を補助、拡張するものと定めている。今回の調査では、AIを処理するサーバやデータを蓄積するストレージなどの「ハードウェア」、AIのコア機能を提供するプラットフォームやアプリケーションで構成される「ソフトウェア」、AIシステム構築のためのコンサルティングサービスやアウトソーシングで構成される「サービス」を対象としており、スマートスピーカーなどAIを活用したB2C製品などは調査に含まれていない。

 同社では、グローバルにおけるAIシステム市場が2019年の358億米ドル規模から、2022年には792億米ドル規模へと飛躍的に伸張すると予測している。日本においてもAIシステムの導入が急速に進んでいるとし、2023年には国内のAIシステム市場が3578億円に達すると予測する。

 セグメントごとの動向では、予測期間の初期でユーザー企業のPoC(概念実証)が進むため、ITコンサルティングやビジネスコンサルティングなどのサービス市場の比率が高くなる。一方で、予測期間の後半はソフトウェアへのAI組み込みが進むため、ソフトウェア市場における2018~2023年のCAGRは53.4%にも達し、「AIシステム市場はソフトウェアがけん引する」(飯坂氏)。2023年には同セグメントが1619億円規模の市場となる見込みだ。

 また、国内ユーザー企業に対して実施したAIシステム導入に関する調査結果からも、AIシステムの業務活用が進んでいることが示されたとする。2018年の前回調査時と比較して、全社もしくは事業部門での利用や社内で広くPoCを選択した企業が増え、導入に向けて調査中と回答した企業は大きく減少している。

 一方で、AIシステム導入に対する課題については、戦略がない、リーダー不足、組織体制がない、といった経営や人事面のハードルを指摘するユーザー企業が多くいたという。飯坂氏は「『戦略がない』と指摘した企業はAI導入フェーズにいる企業よりも拡張フェーズにいる企業が多い割合で存在するように、戦略がないこともシステム拡張時に問題となる。また、『データ収集』や『セキュリティ』を課題として挙げた企業は想定よりも意外に少ない。さほどユーザー企業はこれらの点を問題視していないことも注目ポイントだろう」と述べる。

 また、飯坂氏は「現在の国内ユーザー企業はAIシステムを働き方改革などの内部変革に向けて用いており、サプライチェーンやロジスティクス予測など外部変革を目的としたAIシステム活用は次点となっている」と指摘。デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現では内部変革と外部変革を連続的に実行していくことが重要とし、「海外企業は外部に向けて変革を推し進めているというのが特徴だ。国内企業もこういったプロセス変革を目指す必要がある」(飯坂氏)との認識を示した。

MONOist

最終更新:5/22(水) 7:40
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