ここから本文です

いまさら聞けない年金受給 59歳から始める「満額もらう」準備

5/22(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【令和の年金改悪 突っ切る知恵】(11)

 35歳、45歳、59歳は年金の節目年齢だという。毎年誕生月(1月生まれは前月)にハガキで送られてくる「ねんきん定期便」が、封書で届くからだ。とりわけ、年金受給がグッと近づく59歳は特別だ。「オレも年金か――」と、実感が湧くはず。とはいえ、ずっと会社任せで、詳細は知らない。“満額もらう”ために必要な基礎知識は何か――。

  ◇  ◇  ◇

「定年間近の59歳になっても、自分がどんな年金をもらえるのか知らないサラリーマンは意外に多いですよ」

 こう言うのは、年金・退職金総合アドバイザーの関口博美氏。

 普通のサラリーマンは年金に関する手続き等は大半が会社任せ。そのため、こんな事態が珍しくないという。

 年金の支給開始年齢は原則として65歳だが、国民年金(老齢基礎年金)も厚生年金保険(老齢厚生年金)も、繰り上げ支給の請求をすれば60歳から受け取ることができる。その意味では、59歳は年金の大きなターニングポイントと言っていい。

「59歳時点では、せめて“自分はどんな年金がもらえるか”はキチンと把握しておくべきです。国民年金、厚生年金はご存じのはず。加えて企業年金、俗にいう“3階部分”はあるのか? 大企業の場合、退職金に加えて企業年金を併設しているところが多いですから。個人年金に加入している人は、何歳からいくらもらえるかも押さえておく。定年退職前なら、退職金のもらい方も調べておく。一時金だけか、年金方式もあるのかなどを会社の総務担当に聞いておく。これを知ることは、“年金をいつからもらうか”に大きく関わってくるからです」(関口博美氏)

 どんな年金がもらえるかは、老後の資金計画の“収入の部”を左右する大事な要素。年金の支給は原則65歳支給だが、近い将来、「70歳支給開始」など年金改悪も検討されている。この機会にチェックして資金計画に役立てたい。

 59歳時点で重視したい要素がもう一つある。年金の受給時期の決め方だ。要するに、何歳からもらうか――である。

 これについては、「原則65歳支給」を中心に、3通りに分かれる。

①60歳から(65歳までに)もらう「繰り上げ」

②原則通り「65歳」から受け取る

③最大70歳まで受け取りを我慢する「繰り下げ」

 前出の関口博美氏が続ける。

「いつもらうかを決めるのは、定年後も仕事を続けて収入があるとか、貯蓄の額も含めたそれぞれの経済状況によります。たとえば、①の繰り上げをすると、1カ月につき0.5%減額されます。60歳からだと最大3割減で、それが生涯続く。2~3年前まで3割くらいの人が選んでおり、先にもらう理由は生活費が足りないから。受給総額は、76歳と8カ月を超えると65歳からもらい始めた人に追い越されます。

 ②の65歳受給はもっとも一般的で一番多い。65歳までの間、年金をもらいながら働く人も増えています。給料が大幅に下がった人は雇用保険制度の継続雇用給付金などを活用して収入を少しでも増やす手だてもあります。また、在職者の老齢厚生年金受給は収入によって年金がカットされる場合があるのでご注意を」

 ③の繰り下げは、65歳以降、受け取りを1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増え、70歳時点で最大42%増になるオイシイ制度。長生き家系で、かつ懐に余裕がある人向けということか。

■あすの3000円より、きょうの1000円が正解の人もいる

 70歳受給開始でも、受け取り総額は81歳を超えた時点で65歳からもらった人に追いつく。以降、割り増し部分をたっぷり享受できるのだから、長生きするほど笑いが止まらない。目指せ100歳だ!

 もっとも、世の中には“あすの3000円より、きょうの1000円”という価値観の持ち主もいる。親が短命だったりしたらなおさらか。こちらは迷わず「繰り上げ」チョイスでいいだろう。

 なお、今年59歳の人は厚生年金の特別支給の報酬比例部分が受け取れる最後のグループ(男性は昭和34年4月2日~昭和36年4月1日生まれ)。もらわないと、権利が消滅してしまうのでお忘れなく。

「定年後、働き続けることも含めて、どの年金を、どんな形で、いつから受け取り始めるかは、定年前に奥さんと話し合っておくべきでしょう。59歳なら、まだ下の子が高校生や大学生で教育費がかかるケースもありますから。子どもが独立していても、働き続けて“生活を維持”したい夫婦も多い。夫は65歳受給開始、妻は繰り上げ――のパターンもある。夫婦で“満額受給”目指して徹底的に知恵を絞りましょう」(関口博美氏)

 年金改悪は避けられないだけに、抜かりなく備えたい。

■59歳世代は繰り下げがトク!?

 自分が長生きか短命かは、急病や事故の確率まで考えたら予測は難しい。最新の平均寿命(平成29年簡易生命表から)は、男性81・09年、女性87・26年だった。どちらも前年より上回り、平均寿命は延びているのだ。

 同簡易生命表は「主な年齢別の平均余命」として、0歳から90歳まで、5歳刻みで平均余命が記されている。「59歳」に最も近い「60歳」のそれは、男性23.72年、女性28・97年。つまり、昨年60歳の男性は、あと23年余り“生きられる”ということ。今年59歳世代も同様と考えると、【60+23.72=83.72】で、83歳を超える。計算上は、年金繰り下げがおトクだが……。

最終更新:5/22(水) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事