ここから本文です

イラン出身で「日本のサラリーマン」10年余。石野シャハランさんが訴えた「外国人を日本人にしないで」

5/22(水) 7:56配信

ハフポスト日本版

5月15日、武蔵野大学有明キャンパスを訪れる男性の姿があった。教壇に立ち、集まった日本語コミュニケーション学科の学生たちに対し、話しかけた。

「外国人を日本人にしよう、なんて思わないほうがいい。思ってはいけないと思う」ー。

男性は石野シャハランさん(38)。中東イランの首都・テヘランの出身だ。日本人の女性と結婚し、2015年に日本に帰化している。

日本独自の企業文化に疑問を抱き、外国人社員とのコミュニケーション方法などについてアドバイスする「シャハランコンサルティング」を設立した。

日々、各地の企業を訪問し研修を行うシャハランさんだが、「大学生に話してほしい」というオファーは初めて。日本のサラリーマンとして過ごした10年余りの経験、そして若い世代に伝えたいことは何か。教室に足を運んだ。

シャハランさんと日本の企業文化

シャハランさんはテヘラン生まれ。現地のテレビ局勤務などを経て、すでに来日していた父親のあとを追って2002年に日本の地を踏んだ。東海大学で日本語を学ぶと、同大学のアジア文明学科に入り、卒業した。

卒業後、シャハランさんは通信機器メーカーや、ベルトコンベアを製造する会社などで営業として勤務。ここで日本独自の企業文化に揉まれることになる。

「外国人ということでお客様には可愛がっていただきました。だけど社内ではガラリと変わるんです。

日本語が話せると、遠慮のない扱いになる。間違った日本語をからかわれたり、外国人であることをネタにされたり、もう好きなことを言われるんですよね」

ある日のことだ。仕事終わり、風邪のような症状が出たシャハランさんは病院を受診した。翌日の仕事は休むよう医師から言われたため、上司に電話をした。

「何を言っているんだよ。もう来なくていい」

帰ってきた言葉に、虚をつかれた思いだった。

シャハランさんが「一番意味が分からない」としているのは、飲み会文化だ。

「本当に大事な話があるのなら会議室でしてほしいです。日本人相手でも同じでしょうが、わざわざ飲み会で説教が始まるんです。説教なのか、本当にモノを教えてくれているのか。今上司にされているのが本当に大事な話なのか。それが分かりませんでした」

今、会社を設立してまで企業文化に警鐘を鳴らしているのは、単に自分が嫌な思いをしたからではない。国籍に関わらず、優秀な人材が続々と「国外脱出」を果たすのを目の前で見てきたからだ。

海外出身ならば、そもそも自分の出身国や、母国語が通じる国で働くという選択肢がある。日本人でも、英語をはじめバイリンガルが珍しくない時代だ。

シャハランさんの友人たちも、アメリカやシンガポール、ドバイなどへ渡っていった。

「優秀な人は日本人だろうが外国人だろうが去っていくんですよね。(日本社会にとって)損なんです。日本の国立大学で、国から奨学金をもらって勉強する人もいる。なのに海外へ行ってしまう。

(日本が)かけたお金はどうなるんですか。お金も時間もかけて育てたのに、優秀な人材が出ていく。それはもったいないですよね」

シャハランさん自身には日本から出るという考えはないのだろうか。

「何と言っても日本が大好きですから。良いところたくさんあるじゃないですか。もし誰かが日本の悪口を言っていたら、いくらでも口喧嘩しますよ」

1/3ページ

最終更新:5/22(水) 7:56
ハフポスト日本版

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事