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2億8千万円補助の植物工場、稼働3年で撤退 日本郵船の子会社、さらなる設備投資できず

5/22(水) 20:35配信

福井新聞ONLINE

 福井県敦賀市と福井県から2億8千万円余りの補助金を受け同市和久野で操業していた郵船商事(本社東京都)の植物工場が実質稼働3年で事業撤退することになり、市が助成指定を取り消し、3月末には同社が補助金の一部8400万円を市に返還したことが5月21日分かった。2007年に市企業立地促進補助金を創設して以来、初のケース。同社は他業者への事業譲渡を検討している。

 一方、1億5千万円を助成した県は工場そのものに対しての補助金と位置付けており、郵船商事が他業者に無償譲渡し事業継続されるならば、返還は求めないとの考えを示している。県や嶺南市町は原発立地の電気料金の安さや手厚い優遇策をPRし、植物工場などの誘致を積極的に進めているが、今回の問題で補助金交付の厳格な審査や運用の在り方が問われそうだ。

 同社は海運大手の日本郵船の子会社。植物工場は同市和久野の国道27号沿いの民有地に約7億5千万円を掛けて建設し、工場は延べ床面積約1400平方メートル。国内最大級の1日1万株のリーフレタスを生産する計画で15年4月に稼働。地元を中心にパート従業員を最大で約60人雇用した。

 だが同社によると、「レタスの品質がすぐに劣化してしまう」などと客から苦情が相次いだため、昨年3月に工場の稼働を休止。その後、原因調査で設備の根本的な改善が必要との結論が出たが、さらなる設備投資はできないとの判断で、工場再開を3月までに断念した。連携していた植物工場運営・販売の会社が経営破綻したことも影響した。

 市は同社に総額約1億3400万円を補助。このうち工場建設費などに助成した企業立地促進補助金1億2千万円について、要綱で「操業開始後10年以上、事業継続する」との規定に違反したため指定を取り消し、同社に補助金返還を要求。協議の結果、3年の稼働実績などを加味して7割分の返還で合意したという。

 市商工貿易振興課は「郵船商事の補助金審査で計画書や決算書に問題はなかった」と弁明するが、早期撤退は想定外の事態だ。今回の問題を受け、補助金要綱であいまいな表現となっていた指定取り消しに伴う返還額の規定に関し、操業年数に応じた具体的な返還額を新たに盛り込む改定を行った。

 一方、県は農業参入する企業を支援する「企業的園芸支援事業」の補助金枠で助成。昨年度までに県内の植物工場11件、約13億円を助成しているが、郵船商事のような撤退問題は初めてとしている。県生産振興課は「郵船商事が工場売却や処分を行った場合は補助金の一部を返還してもらうことがある。ただ植物工場の事業継続が大事なので、別業者への譲渡に向け関係者と協議を進めている」としている。

福井新聞社

最終更新:5/22(水) 20:36
福井新聞ONLINE

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