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アルツハイマー病の血液検査、根治治療薬ない今はもろ刃の剣-田中氏

5/22(水) 13:04配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ノーベル賞受賞者で島津製作所(本社・京都府)シニアフェローの田中耕一氏(59)が同僚らと共に約10年にわたる研究の成果として開発したアルツハイマー病発症に関連する物質を検出する血液検査は、もろ刃の剣だ。

記憶力などが低下する認知症の一種であるアルツハイマー病の根治治療薬がない中、発症リスクのある人々を特定しても認知症の緩和にはつながらず、不安が強まる可能性がある。ただ、この患者の身体的負担を小さくする低侵襲の検査は、研究に参加する最適な患者の特定や、治療薬開発の迅速化に役立つだろう。世界のアルツハイマー病患者は2050年までに約1億5200万人に達すると予想されている。

田中氏はインタビューで、治療薬がないため血液検査の利用については「気を付けないといけない」と話す。開発した血液検査がいつか日常的に利用されることを望んでいるが、それは現時点では製薬会社と研究施設に委ねられていると述べた。

アルツハイマー病の明確な兆候が発見されてから100年以上が経過し、スイスのロシュ・ホールディングや米イーライリリー、エーザイなどが多額の資金を研究に投じているが、依然として病気を根治する治療薬は開発されていない。

医学の飛躍的な進歩がなければ、世界の認知症に関連するコストは30年までに約2倍の2兆ドル(約221兆円)に膨らむと予想されている。

アルツハイマー病の原因については議論されているが、深刻な認知症機能障害を発症した患者に効く治療薬はないだろうというのが大半の科学者の見解だ。

「ネイチャー」で発表

田中氏はアルツハイマー病治療薬の開発について、「うまくいかなかった原因はいろいろあるが、症状が出た人に投与するしか方法がなく、症状が出た後では遅い」と説明する。

昨年1月に科学誌「ネイチャー」に発表された研究では、田中氏らは、島津製作所の質量分析研究所で発見された新たなバイオマーカーを使って少量の血液からアミロイドベータを検出し、向こう数十年間に認知症が進む可能性が高い人々を特定することができるとしている。

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最終更新:5/22(水) 13:04
Bloomberg

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