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スポーツチームは自分たちのブランドパワーを理解しきれていない

5/23(木) 6:00配信

アスキー

エグゼクティブなグローバル人材のリクルーティング企業ヘイズが、横浜F・マリノスのスポンサーに就任。スポーツの重要性とは?
 サッカーJ1リーグの横浜F・マリノスとヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンがスポンサー契約を結んだ。ヘイズはエグゼクティブなグローバル人材、スペシャリスト専門の人材紹介企業だ。ロゴの掲出など通常のスポンサー活動だけでなく、人材面でもマリノスを支援する。イギリス本社から来日したHays、Sholto Douglas-Home(ショルト・ダグラスホーム)CMOに同社の考えるスポンサーのあり方、マーケティングにおけるスポーツの重要性などについて話を聞いた。
 

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 ヘイズはイギリスに本社を持つグローバル人材紹介サービス企業。日本ではヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンとして2001年より展開、財務、フィンテック、マーケティング、人事、法務など17の分野で専門性の高いスペシャリストを紹介している。大手グローバル企業を中心に多数の実績があるという。
 
 2019年4月11日に発表した横浜F・マリノスとのスポンサー契約の下、オフィシャル・リクルートメント・パートナーシップとして人材紹介、トレーニングウェアやインタビューバックボードへのロゴ掲出や試合当日のLED広告などを実施する。横浜F・マリノスが傘下に入っているイギリスのシティ・フットボール・グループとはすでに提携関係にあり、マンチェスター・シティFCの男女チーム、ニューヨーク・シティFCでも同様にリクルートパートナーを務めている。
 
――ヘイズのマーケティング活動においてスポーツの重要性は?
 
Douglas-Home氏 我々は世界の複数の国で展開しており、それぞれの地域で、ITや財務など我々がスペシャリストを抱擁する業界のイベントでスポンサーをしています。平行して、グローバルでのスポンサー活動も展開しています。
 
 そこでは、文化的な協力とスポーツのスポサード検討しました。スポーツでは、テニス、ラグビー、ホッケーなどで検討しましたが、中でもサッカーはとくに重要です。世界的なスポーツであり、世界全体でのヘイズのプロモーションで最も有効なスポーツと考えました。
 
 そこで、サッカーの中でも、ヘイズと同じ価値観を持ち、ヘイズの展開している国々にクラブを持つシティ・フットボール・グループと提携することにしました。2013年の提携以来、マンチェスター・シティの男女チーム、ニューヨーク・シティを支援してきました。そして今回横浜F・マリノスとの提携に至りました。
 
 シティ・フットボール・グループはアメリカや中国、オーストラリア、スペインなどにもクラブを持ちますが、日本での知名度を上げることが優先課題であり、今回、横浜F・マリノスと提携することにしました。横浜F・マリノスには、3つの魅力を感じています。1つ目として、横浜F・マリノスは歴史があり尊敬されているクラブであるということ、2つ目は横浜F・マリノスとシティ・フットボール・グループが抱く哲学や戦略を支持していること、3つ目として育成に伝統があること、です。特に3つ目の育成は、ヘイズにとって大きな魅力です。若いプレイヤーの育成とビジネスとしての選手への投資という姿勢を尊敬しています。
 
――スポンサー契約では単にロゴの掲出にとどまらない支援をしてきたとのことですが、これまでの活動を教えてください
 
Douglas-Home氏 これまで企業スポンサーは自社名を露出するという一方的なものでした。現在スポンサー契約は戦略的なものとなり、双方向性があります。ヘイズの場合、オフィシャル・リクルートメント・パートナーとして、クラブが専門家を必要とする場合、そのニーズを満たすことができます。
 
 この6年の間、シティ・フットボールには約100人のリクルートを支援しました。シンガポールの営業担当、ニューヨークの財務担当者、マンチェスターでのファンリレーション担当、デジタルマーケッター、法務担当などです。横浜F・マリノスでも同様に、クラブが求めるプロフェッショナル人材のニーズを満たすことができると期待しています。
 
 ヘイズ側のメリットとしては、コンテンツもあります。我々はLinkedInでのフォロワーが世界で上位30に入っており、リクルート企業で最大です。これまでマンチェスター・シティの女子選手の引退後のキャリア、コーチの国際移籍などのストーリーを発信しましたが、このようなコンテンツはとてもパワフルで、我々のフォロワーに訴求しています。今回の提携により、今度はヘイズジャパンがマリノスとの関係についてLinkedInで発信していきます。
 
 それだけではなく、ヘイズ社員が自分の会社のスポーツスポンサー活動を誇りに思うという好影響もあります。ニューヨーク・シティはニューヨークのチームですが、我々はアメリカ中にオフィスがあり、営業担当のインセンティブとして、試合の見学やスタジアムのツアー、選手との会談などがあります。同じようなことをマリノスでもやりたいと思っています。このように、社員への影響も今日のスポンサーシップにとって重要なことです。
 
――スポーツチームはどの分野の人材を必要としているのでしょうか?
 
Douglas-Home氏 スポーツはエンターテイメントであり、これまでのフォーカスはピッチでの勝敗だけでした。現在、ビジネスとして放映権、チケット、スポンサーの3つの売上をしっかり出していく必要があります。
 
 クラブにより異なりますが、サッカーは商業と競技の2つの側面が平行して動いており、お互いに協業が必要です。商業面は競技面での成功のための支援であり、スポンサー契約、ファンとのエンゲージ、営業やマーケティング、財務や労務、人事などで、それぞれ専門知識を持った人がプロフェッショナルに業務をする必要があります。
 
――日本のスポーツビジネス市場をどう見ていますか?
 
Douglas-Home氏 まず一般的な流れとして、インターネット前はどのスポーツもその国、地方が中心で、一部を除き世界で放映されることも少なかった。インターネットが普及すると動画ストリーミング、ソーシャルプラットフォームなどにより、誰でも・どこのチームでも・どこからでも楽しめるようになりました。例えば、ヘイズのシンガポール在住のアイルランド出身の社員はJリーグのファンで、いつも私にJリーグ情報を教えてくれます。
 
 日本はスポーツが文化に組み込まれていると理解しています。人気が高いのは野球ですが、サッカーの人気も高くなっています。サッカーはグローバルなスポーツで、Jリーグが海外選手を引きつけることができ、日本の選手が国外のリーグでも活躍できるようになってくるとさらに進展するでしょう。日本ではオリンピック、ラグビーW杯も控えており、市場が活気付く要因が揃っています。10年後、市場は大きくなっており他国との差も縮小されると予想します。
 
――ヘイズは世界の大手グローバル企業との付き合いがありますが、それらと比較したとき、スポーツチームに足りないものはありますか?
 
Douglas-Home氏 一般的に、スポーツのクラブや運営組織はこれまで、自分たちのブランドパワーを理解していなかったように思います。マンチェスターユナイテッド、レアルマドリード、バルセロナなどは自分たちのブランドを確立し、巨大なバリューを持っているのに対し、他のチームは潜在性に気がつき始めた段階といえます。
 
 一旦理解すると、改善は早いです。中でもマンチェスター・シティはブランドへの投資という点では先陣を切っています。プレミアリーグはプレシーズンツアーにアジアでプレーしますが、その理由はアジアでファンベースを確立していることを理解しているからです。ファンベースがあり、露出を強くすることでもっとブランドを強くできます。
 
 スポーツをブランドにしたという点で、第一人者はビョルン・ボルグでしょう。現在なら、フェデラーなど一部の選手は成功していますが、まだ着手していない選手もいます。サッカーも同様です。クラブの財務的状況は改善しており、次のステップとしてブランドのパワーをもっと理解すべきだと思います。
 
――日本のスポーツチームの多くはこれまで内部人材が中心で、外部人材の取り入れは簡単ではありません
 
Douglas-Home氏 確かにスポーツは内部人材に偏りがちなところがあり、その場合狭い世界観になってしまいます。
 
 ニューヨーク・シティは、2015年にゼロからスポーツしたクラブです。ヘイズは人材を手伝いましたが、シティ・フットボールはニューヨーク・シティの立ち上げにあたり、意図的にスポーツ以外の分野の人を採用しました。勇敢な決断です。実際、ニューヨーク・シティはその後、商業面で成功しています。報道によると、2016年のレギュラーシーズンではリーグの中でも最も高いレベルのファン数を擁しています。Forbesは2016年、チームの市場価値を2億8500万ドルと評価しましたが、これはメジャーリーグサッカー(MLS)で3番目です。グッズ販売でもMLS市場最高記録を出しています。
 
 マンチェスター・シティもスポーツ以外から雇用しておりヘイズは支援しました。外部人材の活用は最近のトレンドです。チームにとって商業面がとても重要になっており、財務状況を改善することによりチームやスタッフに良い影響が出るからです。クラブはこれまでにはないアドバンテージを追求する必要があり、そこでは新しい考え方、専門性が必要です。
 
 横浜F・マリノスも新しいスキルや人材の取り込みにより、このメリットを得られることでしょう。スポーツブランドの成長チャンスは計り知れない規模です。
 
 
文● 末岡洋子 編集● ガチ鈴木/ASCII編集部

最終更新:5/30(木) 19:44
アスキー

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