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沖縄美人(20) 会社勤めを辞め“好き”を追求し異分野に デザイナー・比嘉弥生さん

5/23(木) 11:04配信

琉球新報

道を切り拓く行動力と冷静な分析力でファッションデザイナーとしての道を躍進する比嘉弥生さん(44歳)。独学から起業し、経営者になるまでのお話しを伺いました。

◇記事:朱瞳碧晃(ビューティーライター、フォトグラファー)


人生を変えた出来事は?


デザイナーとして起業したことです。私は以前、IT企業に勤めていて、親や周囲の影響もあって安定志向。経理や事務、コンピューターをマスターしたいと思いIT企業に就職したんです。給料は悪くなく有難いと思う反面、常にエネルギーが有り余って、趣味で三線を始めたり、フルマラソンに出場したり、他に何か出来ることがあるんじゃないかと思っていました。30歳になった時、定年まで会社勤めすることに疑問を感じるようになってきたんです。このままでいいのかと。長年勤めていると、仕事量に比例してストレスも増え、周囲と上手く歩調を合わせてやっていかないといけない組織にだんだん疲れてしまったんですね。それで、小さい頃の夢や楽しかった事を思い出して挑戦していくことにしたんです。

過去を振り返ると、服作りが好きだったことを思い出し、想像したものが形になる喜び、自分の手で作り出すのが楽しかったことに気付きました。それからコンテストにデザイン画を応募するようになりました。そうは言っても、服づくりのパターンも引けない状態。周りに助けられながら付きっきりで指導してもらう日々。生地は買っては捨てての繰り返し。そうやって独学で吸収していきました。

日中は会社勤めを続け、服づくりとは畑違いの仕事をしているので、人の何倍もやらないと無理。好きなことのために自分がどこまで出来るか、この道でやっていけるかどうか模索していた時期でした。折しも、最初の作品で「オーディエンス賞」という賞をいただいたことで自信につながりました。同時にこの頃はコンテストに出展し続け経験値が上がってくる一方、時間とお金がかかり、見返りがない日々も続き、好きでやりたいと思わないと継続が難しいことも痛感しました。会社勤め続けながらだったから出来たのだと思います。技術が上がってくるにつれ、必死で挑戦する姿を見ていた周りからの理解も得られ、徐々に応援してくれる人も増えました。

その後、好きなことにシフトしたい思いが強くなる転換期と会社の部署異動のタイミングが重なり、今ならあまり迷惑をかけずに退社できると考え、デザイナー1本でやっていくことにしました。その折、元同僚から他人とかぶらないかりゆしウェアを依頼され作ったのがきっかけで、それが評判となり、ショップやホテルでも取り扱われるようになりました。元同僚は営業職という仕事柄、オリジナルかりゆしウェアを共通の話題として、トークのきっかけにしていたのかもしれませんが、思いもよらず歩く広告塔として、私のブランドをPRしてくれていたんです。(笑)


ハッピーでいるためにしていることは?


20~30代は嫌なことがあると落ち込むことが多かったんです。一生懸命やっているけど、相手のことを考えていなかったり、周りを見ていなかったりで、ぎくしゃくしてしまったり、後ろを振り向くこともなかった。でもそれはしょうがないこと。40代になり経験が増えていくと、蓄積した経験に基づいて分析出来るようになり、生き易くなった気がします。ハッピーは自分でつくるもの、自分の感情はコントロールするものと分かってくるんです。人とのコミュニケーションの図り方は培われた経験の中から活かされてくるし、自分の感情のコントロールの仕方も分かってきます。ハッピーもアンハッピーも紙一重だと気付くんです。だから経験値って大事です。

私のハッピーカラーは黄色なのですが、講演会などには、自分に似合う色が黄色と思って、お守り代わりに着て行きます。黄色を身に付けたら上手くいくと思って臨む。そうやって自分にプラスの暗示をかけてみるといいかもしれません。形から入るのも大事。やっぱりハッピーは自分でつくるものだと思います。


座右の銘は?


「良縁」です。人とのつながり、よいご紹介があってここまでやってこれました。ビジネスは人を介して成り立っているので、自分がやりたいことをやろうと思った時、人が大事だと考えています。沖縄特有ですが、先輩後輩の関係性で仕事がくることもあります。人とのつながりで仕事をいただくこともあるので、紹介の力は大きい。人のつながりと仕事の実績で今の私があると思っています。

徐々に経営規模が大きくなると、怖いからやりたくないと尻込みしてしまいますが、そのタイミングで必要な人が協力して下さるんです。ビジネスの段階において、必要な要素が変わってくるので、大きい仕事をやるためのビジネスの方法が違います。だから色々なことを吸収していかないといけません。目先の損得ではなく、長い目で見て大きな決断をすることもあります。今の自分のレベルを超えているかもと感じてもやろうと考える。相手は出来ると思って頼んでいて、出来ないと思っているのは自分なんです。チャレンジしないと次にはつながらない。そう思い、せっかくのチャンスを何が何でもものにする気持ちで臨みます。

起業するということは、安定を捨てて、不安定に入るということ。自分が走らなければ成り立ちませんが、一人っきりでは走り続けられません。協力者が必要。好きなことに夢中になると共感する人が現れ、やりたいことを継続していくことで実績となり仕事につながる。服を通して、沖縄をもっと発信していこうとする目的に共感したり、情熱に心打たれる何かを感じ、応援することで元気をもらえるなど、その人に魅力を感じるから協力し、協力することで恩恵につながるのがベストだと思います。そのためには熱意をもって応えていくことが大切だと考えます。新鮮さを求める消費者のニーズに応えるモノづくりを通して、地元らしさを取り入れたデザインや新作で期待に応えていきたい。そのために、常に応えるレベルに達している自分でいたいと思っています。


理想の女性像は?

FDR(ファッションデザイナークラブ琉球)の先生方です。先生方は歳を重ねてもなお、常にキレイ。年齢を感じさせないエネルギッシュな方ばかりでイキイキしているんです。旦那様の介護をされていたり、大切なご家族の他界を経験されたり、色々と苦労されても好きな仕事を貫き通す姿。生涯現役の姿勢で、仕事を続けられていることを尊敬しています。

デザイナーになろうと決めた時、どんな女性になりたいか考えました。組織でキャリアを積むバリバリのキャリアウーマンか自分の好きなことをやって輝いている方か。私のタイプは後者。夢を持って明るく楽しんでいるイメージが想像出来ました。何かを決断する時、考え過ぎると動けなくなるので、まずは行動に移し、失敗しても経験値が増えてこなしやすくなるから大丈夫だと考えていました。それからは徐々になりたい自分にシフトチェンジ。仕事を通して、様々な出会いと経験を一つ一つ積み重ねて今があると感じています。


理想のパートナー、好きな人のタイプは?

仕事をしていく上で、素敵だと思う男性はさり気なくフォローしてくれる人。困っている時に気付いてくれて、助けてくれる人は心強いです。相手の立場に立って段取りができたり、気遣いが出来る人は理想ですよね。上に立つ人ほどすごく気遣いされているなと感じます。だからこそ上に立てるのだと思います。そういう方は経験値がすごい。苦労しながら積んだ経験が、上に立った時活かされ、相手がよく見えるからフォローしてあげられるのだと思い、尊敬しています。

以前、商工会青年部で、女性初の部長の役職を務めた時期がありましたが、横の繋がりが強い女性とは異なり、男性は縦の繋がりで、組織が違っても上の指示に従い、上下関係を意識して動くことを知りましたね。飲みやゴルフなどの付き合いが多い男性は、その席でも仕事をしています。和む場所でキーマンになる人と話したり、仲良くなって仕事をとるなど、男性のものの見方、ビジネスの仕方を学ぶいい機会になりましたよ。


落ち込んだ時の対処法は?


原因によって対処の方法は変わってきます。何で落ち込んでいるか分からない時は本屋に行きます。直観的に手にした本の中から必要な情報をチョイス。何かあって悶々として面白くない日はすぐに寝たり、他には掃除したり、髪を切ってリセットします。落ち込む理由が分からない時、話しているうちになるほどと腑に落ちることがあるので、感情の整理が出来ない時は、誰かに話を聞いてもらいます。落ち込みが長いスパンだと、運勢を見てしょうがないと納得させる(笑)。悩んでも自分が変わらないと良くならないと考えているので、自分のコントロールだと思います。


チャレンジしたいことは?


今後は「男性はかっこよく、女性は美しく」スタイリッシュな服作りをしたいと考えています。ビジネスシーンでは、レディースのファッショナブルなものを考えているので、タイトスカートにイン出来るブラウスを作りたいですね。女性はライフスタイルで選ぶ服が変わるのが面白いと感じています。例えば、議員さんの場合は、かりゆしウェアのスーツを好んだりと、職業や年齢で好まれるデザインが変わるんです。

現在、県内リゾートホテルでの取り扱いがあり、そこで私のブランド「ラフィール・ココ」を購入される方は、琉球紅型柄が目に留まり、伝統工芸柄を配したドレスをお買い求めになる方や沖縄で買ったものをハワイで着たいと海外での着用をお考えの方など様々です。直接お客様の声を拾うため、月に1度開催されるFDR展示即売会では、お客様とのコミュニケーションを通して、服づくりに活かしています。メンズかりゆしウェアは今後もラインナップの幅を広げ、レディースは求められている需要をベースに原点回帰し、ターゲットに合わせたものを展開していけたらと思います。

近年、伝統工芸に携わる人との出会いが増え、伝統工芸を身に付けたいというお客様もいらっしゃるので、うらそえ織、知花花織、首里織など伝統工芸と協働で何か出来ないか検討していきたいです。インバウンドを意識しながら、やりたいことと経営の両輪で、少しずつステップアップしていきたいと考えています。


イチオシ美容法は?


昨年10月頃、顔が赤く腫れ上がるくらい肌荒れに悩まされていたんです。甘い物やアルコールは良くないと思いながらも、ストレスが溜まるとつい手が伸びてしまう悪循環が続いて、多忙で不規則な生活を繰り返していたんです。人に会えないくらいひどくて、さすがにまずいなと思いましたね。ウエイトオーバーを解消するため、しばらく炭水化物を摂らず、サバや納豆など美容にいいものを摂るようにしました。運動不足で太り気味だったのですが、経営と子育てで忙しく、ジムにも通えなかったため、通販器具を使って「ながらスクワット」を始めました。ドライヤーをしながら(笑)。3か月続けて、効果はありましたよ。


今思い返すと、一人でこなせるはずのない仕事量で頭の中が仕事でいっぱいになっていたのだと思います。その時期、友人の誘いも断るくらい余裕がなくて、オンオフの切り替えが出来ず、ずっとオンの状態。現在は従業員を雇い、人にお願いすることで気持ちが楽になりました。色々なことのバランスが大事なんだとあらめて気付きました。



【比嘉弥生(ひがやよい)】

中城村出身。沖縄国際大学卒。IT企業10年勤務。
NDCファッションデザイングランプリー大賞2度受賞。那覇観光キャンペーンレディ(ミス那覇)制服デザイン9年採用。読売ジャイアンツ応援かりゆしウェアデザイン採用。東京ヤクルトスワローズ応援かりゆしウェアデザイン採用。広島東洋カープ応援かりゆしウェアデザイン採用   
 
男性はかっこよく、女性は綺麗にをテーマにかりゆしウェアから女性服までを展開。企業や団体のかりゆしウェアのデザインも行う。

事務所住所:宜野湾市真栄原3-31-25サンシャインビル1F
      ラフィール.ココ (マップはこちら)
電話番号:098-975-7105
営業時間:月曜日~金曜日 9時~17時
     土曜、日曜、祝祭日 完全予約制
ホームページ:https://www.lfeelcoco.com/
メール:info@lfeelcoco.com


 


【インタビュー後記】

会社という組織と独立起業の経営者、どちらも経験された比嘉弥生さん。面倒なことや雑用を率先してやらないと人はついてこない。相手が何を求めていて、何をすると喜ばれるのか。時には補ったり、与えたりする必要があると語ります。色々な立場を経験することで、相手のことが理解出来るようになり、経験値の大切さを実感したという比嘉さんの言葉に、人や環境が変わることを期待するのではなく、自分が変わらないと物事は好転していかないのかもしれないとあらめて考えさせられました。

(文・朱瞳碧晃)




朱瞳碧晃(あやとうみき) 

ビューティーライター、フォトグラファーとして活動。美魔女フォト(ヘアメイク込)、出張撮影、HP・広告用の商用写真撮影やセールスライティング代行を行う。

リポーター経験より、白霧未來でイベントMC、披露宴司会としても活動中。

琉球新報社

最終更新:5/29(水) 10:21
琉球新報

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