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国債金利0.2%強上昇なら保有長期国債の時価が簿価下回る=若田部日銀副総裁

5/23(木) 13:41配信

ロイター

[東京 23日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁は23日午前の参議院財政金融委員会で、日銀は出口政策を議論する段階にはなく、日銀収益への影響シミュレーションを示すと、かえって混乱すると述べた。機械的に計算すれば、国債金利が0.2%強上昇すれば、保有長期国債の時価が簿価を下回るという。藤巻健史委員(維希)の質問に答えた。

現行の緩和政策からの出口時は、付利金利を引き上げることで、支払利息が増加して、日銀の収益を下押しするとしたものの「付利金利引き上げのペースやバランスシートの規模によって、大きく変わってくる」とした。また、経済・物価情勢が好転し、付利金利を引き上げる時には、長期金利も相応に上昇するため、「日銀の保有国債はより高い利回りの国債に順次入れ替わり、受け取り利息は増加する」と述べた。

藤巻委員は、金利上昇で日銀の収益がどのように変化するかのシミュレーションの提示を求めた。これに対し、若田部副総裁は「市場の動きなどが日銀の収益に与える影響については、内部的に確認を行っているのは事実」とした。そのうえで「出口に向かう時に日銀の収益がどうなるかは、将来の経済・物価情勢や金利環境に加え、日銀がどのような手段をどのような順序で用いるかで大きく変わる。多様なシミュレーションがある」と述べた。さらには、物価安定目標の実現に時間がかかり、日銀はまだ出口を議論する段階にはないため、「現時点で収益に関する具体的な数字を出すことは、市場との対話の観点からもかえって混乱を起こす」とした。

日銀は償却原価法を採用しており「長期金利が上昇しても、決算上の期間損益において評価損失が計上されることはない」とした。

昨年9月末で日銀が保有する国債には7.2兆円の含み益がある。若田部副総裁は「同時点の長期国債の保有状況を前提として、国債金利がイールドカーブ全般で1%上昇するとすれば、長期国債の時価総額は29兆3000億円程度減少する」とした。

また、同じく昨年9月末の国債保有状況を前提として機械的に計算すると、「国債金利が0.2%強上昇すると保有長期国債の時価が簿価を下回る計算になる」とした。

若田部副総裁は「中央銀行の財務が悪化することで通貨の信認、中銀の政策遂行能力を毀損することを懸念する見方があるのは認識している」とした。ただ「収益が振れても債務不履行に陥ることはなく、金融政策や金融システム安定のための政策遂行力には影響がないというのが中央銀行の中央銀行たるゆえん」と述べた。

副総裁はまた、管理通貨制度の下で不換紙幣を発行しており、長い目で見れば通貨発行益が発生するため「中央銀行は債務超過をそれほど心配する必要がない。国民にも理解されており、そのことについて我々が懸念していることはない」とした。

先進国で中央銀行が債務超過になった例として、1970年代の旧西ドイツを挙げ「歴史的な事例を見ても、中央銀行が債務超過になったことで、大きなインフレになったことはない」と述べた。

(清水律子)

最終更新:5/23(木) 13:41
ロイター

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