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「ひとりのほうが孤独を感じない」感情豊かな楽器「アコーディオン」で弾き語るソロシンガー

5/23(木) 15:10配信

DANRO

アコーディオンは歴史が長く、一般的によく知られているわりに、本格的な奏者の数がさほど多くない不思議な楽器です。どのような仕組みで音が出るのかをきちんと理解している人も、実際のところ少ないのではないでしょうか。

【動画】オランさんのアコーディオン弾き語り

シンガーソングライターのオランさん(52)は、ギターやピアノを使うことが一般的な「弾き語り」シーンにおいて、アコーディオンでひとり、弾き語るスタイルで高い評価を得ています。その卓越した演奏技術は、数々のレコーディングやセッションへ「奏者として参加してほしい」というオファーが引きも切らないほど。

そんな彼女が作り出す唯一無二の歌世界は、美しくもどこか寂しげな楽器の音色とも相まって、一度耳にしただけで誰の胸にも強烈な印象を残します。

アコーディオンという楽器は、なぜ単体でここまで豊かな世界を表現できるのでしょうか。その魅力や問題点について、はたまた表現者としてのこだわりについて、オランさんにじっくり語ってもらいました。最終的には、意外なビジネスプランについても話題は及びます。(ナカニシキュウ)

アコーディオンは“ひとりオーケストラ”

ーーオランさんのライブを拝見するまで、アコーディオンがこんなに「弾き語り」に適した楽器だとは思いませんでした。

オラン:適してないなって思うことのほうが、実は多くて(笑)。楽器自体が重くて、10キロくらいあるんですよ。だから楽器を弾くために必要な筋肉が、声を出すための筋肉を邪魔するんです。歌のトレーニングもきちんとしたことがないのに、いきなりそんな特殊な状態で歌い始めちゃったもんだから、ずっと苦しかったんです。最近ようやく苦しくなくなってきたんですけど。

ーーなるほど。それは実際にやっている人にしかわからない苦労ですね。

オラン:逆に、(弾き語りに)向いてる部分は持ち運べるところ。例えばピアノは、楽器が置いてあるところに行かないと弾けないし。あとは楽器を抱えるっていうことで、自分の感情表現に直結しやすいかもしれないです。アコーディオンの最大の特徴って、発音後の音をいくらでも加工できるところなんですね。ピアノは一度音を出したらペダルで伸ばすか切るかくらいしかないですけど、アコーディオンはベローイング(蛇腹を操作すること)でビブラートをかけたり、音量を大きくしたり小さくしたりできる。ただ、わたしはそれが感情に直結しすぎないように気をつけてます。

ーー気をつけないと直情的になりすぎる?

オラン:そんなに感情込められても困るんじゃないかなと(笑)。今はそうでもないですけど、わたしも以前は感情的すぎる音楽を聴くのは苦手でした。感情に直結しやすい楽器だというのは、利点でもあり欠点でもあるのかもしれません。

ーーアコーディオンの音って、「隙間が埋まってる」感じがするんです。別の楽器と同じ和音を弾いても、情報量が多く聴こえるというか。その分、ひとりで表現できる世界の密度が高くなるのかなと。

オラン:アコーディオンを作った人も「たくさんの情報を詰め込みたい」っていうのがあったんじゃないかな。「音色切り替えスイッチ」っていうのがついてるんですけど、そこに「バイオリン」とか「クラリネット」とか書いちゃってるんですよ(笑)。“ひとりオーケストラ”みたいな発想だったんだろうな。

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最終更新:5/23(木) 15:10
DANRO

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