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「消費増税→日銀が追加緩和」でも円高リスク。トランプ政権の尻ぬぐい迫られるFRB

5/23(木) 12:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

世界経済は米中貿易協議を中心に荒れ模様だが、日本では2019年5月13日公表の3月景気動向指数における基調判断が2013年1月以来、6年2カ月ぶりに「悪化」となったことで増税延期議論がくすぶり始めている【図表1】。

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6年2カ月ぶりの「悪化」と増税の行方

景気動向指数の基調判断における「悪化」は「下方への局面変化」の次のステップである。「下方への局面変化」という表現は2019年1、2月に使用され、これは「事後的に判定される景気のピークが、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す」ことを意味していた。

今回、その基調判断から「悪化」へシフトしたことを考えると、2019年1月の月例経済報告の公表日の記者会見で茂木敏充経済財政相が「戦後最長の景気回復(74カ月目)となったとみられる」と表明した今回の局面は、実は最長ではなかったのではないかという疑義も強まるだろう。

もっとも景気動向指数を用いた基調判断は機械的な運用に任されており、政府としての正式な景気判断は月例経済報告で示されることになる。

政府・与党の要人発言の通り、現状では予定通り「10月に消費増税」が基本線であり、金融市場におけるあらゆる資産価格の予測もこれを前提とするのが筋だろう。

だが、景気動向指数の「悪化」判断を契機として、明らかに衆参同日選挙というフレーズが世の中で取り沙汰されるようになっており、本当にそうなる場合は実施の大義が「増税の可否」となる可能性が否めない。

冷静に考えると、増税後に想定される景気失速や、その後に控える五輪開催まで見据えれば、総選挙のチャンスはそれほどないという実情は確かにある。もし「増税の可否」が大義に挙げられてしまった場合、有効な対案を持たない野党は手痛い結果に直面する公算がかなり大きい。

日銀短観に注目が集まる

とはいえ、各国のPMI(購買担当者景気指数)などに象徴されるソフトデータ(消費者や企業などの心理状態を判断するために実施される調査のデータ)はそろそろ下げ止まっても不思議ではないほど急落している。今後、底打ちに賭ける向きも徐々に増えてくるだろう。

もとより「年後半に中国の刺激策が顕現化するに伴って世界経済も復調する」というのが2019年のコンセンサスに近いことを思えば、現時点で政府が景気後退の判定に舵を切り、増税を再考するハードルも低くない。

そのような判断を下すにせよ、7月1日発表の日銀短観(6月調査)などを待っての動きとなるだろう。とくに日銀短観の6月調査ではヘッドラインとなる大企業・製造業の業況判断DIはさらなる失速が見込まれており、この深さがどれほどかは景気判断に重要な意味を持つはずだ【図表2】。

実際、自民党の荻生田光一幹事長代行が4月18日、6月短観を増税判断の重要な材料にするという発言をしたことが、注目されたばかりである。

もちろん、5月20日に公表された2019年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が前期比0.5%増(年率換算では2.1%増)となったことも重要だが、これはしょせん、過ぎた話でもある。より近況をつかむという意味で短観の結果は重いはずだ。

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最終更新:5/23(木) 12:11
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