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【急性心筋梗塞対策】新システムの導入急げ(5月24日)

5/24(金) 10:33配信

福島民報

 詳細な心電図(十二誘導心電図)の伝送システムの導入が、県内で遅れている。本県は急性心筋梗塞の死亡率が全国で最も高い。

 相双地方は医師不足などに伴い、救急態勢を整えるのに厳しい環境が続く。システムは急性心筋梗塞が疑われる患者の救命率を上げるために必要だ。県や関係機関は装置の配備に積極的に取り組むべきだ。

 救急医や循環器内科医などで組織する日本蘇生協議会(JRC)は十二誘導心電図伝送システムの利用を推奨している。患者の搬送中に計十二種の波形を病院に直接、送れるようにする方式全体をいう。全国では既に三十七都道府県の病院や広域消防本部などで取り入れ、東北では本県を除く五県の一部の地域で導入が始まった。

 県内の救急医と循環器内科医は今年三月、「福島十二誘導心電図伝送研究会」を結成し、システム導入に動きだした。しかし、医療圏が広い地域は、市町村の意識がそろわなかったり、受け入れ病院の態勢の差が妨げになったりしているという。

 面積が広い本県の特徴を考えると、まずは既に運用しているドクターヘリに導入するのも一案だ。県内全域をカバーし、福島医大と直結するドクターヘリで実績を積むことで、理解が広がる。

 相双地方の医療機関の責任者は「患者到着前に、専門の医師を含めた受け入れの準備を整えられるなどの効果は大きい。専門医がどこにいても十二誘導心電図を見られるようになれば、さらに有益になる」と説明する。全ての救急車への設置費用や、装置を扱う救急隊員の養成などの課題があり、国や市町村の理解と支援は欠かせない。

 厚生労働省が五年ごとに実施している日本人の死因別、都道府県別死亡率(人口十万人当たりの死亡数)によると、二〇一五(平成二十七)年の統計で、本県の急性心筋梗塞による死亡率は男性三四・七人、女性一五・五人となり、全国で一番高かった。

 医師の偏りの度合いを示す新指標として今年、同省が新たに公表した「医師偏在指標」でも、下から四番目の四十四位で「医師少数県」に位置付けられた。相双地方は全国を二次医療圏で分けた三百三十五地域の中で、三百二十三位と最下位に近かった。

 医師不足解消には、かなりの時間が必要だが、救命は緊急を要する。短期的対策として、最新設備を導入して人材不足を補い、県民の命と健康を守ることに直接つなげてほしい。(関根 英樹)

最終更新:5/24(金) 10:33
福島民報

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