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医療ミステリー? 股関節痛の診断が医師ごとに違うわけは…

5/24(金) 16:49配信

Medical Note

股関節の痛みで受診しても、医師によって診断名が変わる――。そんな不思議な病気があります。ある男性は、股関節の強い痛みで病院をいくつか回るたび、診断名が異なることに疑問を抱いていました。痛みがあるのに、レントゲンを撮っても異常がないと言われてしまう。しかし、実はこの男性の病気は、太ももの骨の股関節側先端(大腿<だいたい>骨頭)が壊死(えし)してしまう病気だったのです。なぜこの病気の診断名が医師により変わってしまうのでしょうか? その“謎”を追ってみましょう。【北里大学大学院整形外科学教授・高平尚伸/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇医師ごとに違う診断に不信感

「股関節が痛くてたまらず病院をいくつか受診したのですが、行く先々で診断が違うんです」

60歳代の大学教授Aさんは診察室に入るなり、そうおっしゃいました。Aさんは病院で治療を受けても痛みがよくならずに別の病院を受診し、また違う診断名がついて治療するものの痛みはひどくなるばかり……といった具合で、病院を転々とせざるを得ませんでした。「自分がどの病気なのかわからないし、私を診てくれた先生方は本当に正しく診断してくれたのか……」と、今まで診察をしてきた医師たちに不信感を持っているようでした。

Aさんの体をむしばんでいた病気は「特発(とくはつ)性大腿骨頭壊死症」。これは、大腿骨頭の股関節に接する部分が血流低下によって壊死し、負荷がかかってその部分が潰れる(圧潰)ことで骨折のような強い痛みが出る病気です。診断が難しいことから国の難病にも指定されています。

特発性大腿骨頭壊死症とは、一体どんな病気なのでしょうか。

◇毎日の大量飲酒が原因になることも

特発性大腿骨頭壊死症は骨の中の血管が塞がるなどして血が通わなくなり、骨組織が死んでしまう(壊死)ことで起こると考えられています。骨壊死が起きる(発生)タイミングと痛みが生じる(発症)タイミングに差があるため、骨壊死が起きても痛みが生じない期間が数カ月程度あります。

毎日大量(日本酒で2合以上)に飲酒する方や、ステロイドと呼ばれる薬を大量に使用している方(代表的なステロイド薬のプレドニゾロン換算で1日平均15mg以上)に比較的多いといわれていますが、これらに当てはまらなくても罹患(りかん)する方もいます。ステロイド関連では、ステロイドパルス療法といって大量のステロイドを点滴する治療を受けている方に多いといわれています。また、内服・注射薬だけでなく、ステロイド軟膏などの外用薬でも罹患する可能性があります。ステロイドは、病院で処方される薬以外にも、市販薬や海外製のサプリメントにも含まれていることがあります。

ただし、医師の指示のもとで使用しているステロイドを勝手にやめてしまうと、元の病気が悪化するおそれがあります。自己判断でやめることは絶対に避けてください。

この病気になりやすい年齢は全体で30~50代、ステロイド関連に限った場合は30代で、働き盛りの世代に多くみられます。男女比は1.8対1で全体では男性が多いのですが、ステロイド関連だと0.8対1でやや女性が多くなります。これは、ステロイド投与を多く受ける膠原病の患者さんは比較的女性が多いためです。年間2000~3000人が新たにこの病気にかかっており、一般の病院であれば年に1人程度診断されるかどうかの珍しい病気です。

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最終更新:5/24(金) 17:06
Medical Note

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