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菅野の離脱はチームには痛手だが本人にはむしろプラス

5/25(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【権藤博の「奔放主義」】

 巨人の菅野智之(29)が腰の違和感を訴えて一軍登録を抹消された。

 絶対的エースの離脱はチームにとって痛手だろうが、本人にとってはむしろ、プラスに転じるとみている。ここまで、リーグトップタイの5勝を挙げてはいるものの、防御率は4.36。15日の阪神戦で4本塁打を浴びるなど、自己最悪の10失点を喫した。13被本塁打は12球団ワーストと、本来の調子でないのは誰の目にも明らかだった。

 原因は疲労だろう。肉体的な疲れはもちろんのこと、より大きいのは精神的な疲弊だと思う。巨人のエースの看板を背負い、今季は1958年の金田正一さん以来となる3年連続の沢村賞を期待される。彼とは定期的に話をする関係だが、会話をしていると「勝ち星で1番、防御率で1番、球威でもコントロールでも1番」とすべてにおいてナンバーワンを目指す志の高さを、言葉の端々に感じさせるのが常だ。当然、そのための準備にも妥協がない。悪いことではもちろんないが、もう少し鷹揚に構えてもいいのにな、と思うことがあった。あまりに追い込み過ぎると、自分で自分にプレッシャーをかけることになってしまい、体より気持ちがしんどくなるぞ、と老婆心ながら忠告したこともあった。

■不調の革新

 ここ数年、菅野がオフに行っているハワイでの自主トレをフェンスの外から見学しているが、キャンプの準備とは思えないほど強度の高いトレーニングをやっている。実は一昨年、その自主トレの最中に菅野が足首を捻挫したことがあった。幸い、症状は軽かったものの、患部に負担のかかるダッシュなどのメニューを数日間だが、見合わさざるを得なくなった。思わず、「いいこと、いいこと」と声をかけると、菅野はキョトンとしていたが、「ちょうどよかったじゃないか。休むのもトレーニング。鍛える、休む。そのバランスが大事なんだから」と言ったのは、自分にプレッシャーをかけ過ぎるなよ、という心配があったからだ。

 だから、今回の登録抹消も、菅野にとってはいい機会、と思うのだ。被本塁打王ということで、投球フォームの問題、配球の問題などさまざまな解説が出ているが、不調の核心はそこではない。そもそも、フォームや配球が問題になるようなレベルの投手ではないだろう。腰の違和感にしても、彼の無理のない投球フォームを考えれば、大事には至らないと思う。今の菅野に必要なのは、体も頭もリフレッシュすること。今回の離脱で、「休む勇気」の重要性を知ることになれば、今後の菅野にとっては決して悪いことではない。

(権藤博/野球評論家)

最終更新:5/25(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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