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学生の胃袋満たした38年に幕 静岡・清水の定食店「曙」

5/25(土) 8:15配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡市清水区の定食店「御食事処 曙」が4月末で閉店し、38年の歴史に幕を閉じた。周辺には県立大生の下宿アパートが多く、味良し、量良し、値段良しの「高コスパ定食」が若者の胃袋を満たした。地域に愛された名店が平成の終わりとともにのれんを下ろした。

 店を切り盛りしたのは海野豊さん(76)とふさ子さん(70)夫婦。前に経営していた店から合わせて50年となり、仕事に区切りをつけることを決めた。

 海野さんは中学卒業後、料理人の道に入った。羽田空港のレストラン勤務などを経て1968年、JR清水駅近くに自分の洋食店をオープン。81年、自宅兼店舗を建て「曙」を始めた。

 87年に県立大ができると学生の客が増えた。大食漢でも満足できるようにと、約20種ある定食は全てご飯のおかわり無料。研究室で遅くまで勉強していた薬学部生や、部活終わりの運動部員が空腹を満たした。海野さんと仲良くなった常連客は大学の卒業祝いに食事をごちそうされた。

 閉店を発表した4月1日以降、うわさを聞き付けた元常連客が県内外から駆け付けた。最終日は店に入りきらないほどのにぎわいだった。

 海野さんは「お客さん、友人、仕入れ先に恵まれ、あっという間の38年だった」と振り返る。令和の時代を生きる元常連客に「こつこつと自分のやりたいことをやっていれば、自然と良い人間関係に恵まれる」とエールを送る。

 店は建て替えた上で現在東京都内でステーキ店の総料理長を務める長男(46)が飲食店をオープンさせる予定。夫婦は長男の店を手伝いつつ、海野さんは海釣り、ふさ子さんは温泉と、趣味を楽しむつもりだ。



 ■忘れられない味

 学生に最も人気があったメニューは「C定食」(800円)。鶏の唐揚げ7個に串カツ、焼き魚、魚フライのいずれかを加えることができ、ボリューム満点だった。平日昼間の「日替わりランチ」は500円。創業当時から値段を変えなかった。海野さんの「もうけが少なくても、店のにぎわいを大切にしたい」との思いが背景にあった。

 県立大学生時、「曙」の常連で、現在東京都の会社に勤務する男性(39)は「店の温かい雰囲気にいつも励まされていた」と感謝した。

静岡新聞社

最終更新:5/25(土) 11:50
@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

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