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あの日、AKB48だった無数の少女たちの「今」

5/25(土) 11:20配信

BuzzFeed Japan

210人。2011年末、紅白歌合戦に「AKB48」の名義で出場したメンバーの人数だ。

【写真】変わった? 変わってない? AKB48「初代神7」の今

ステージを埋め尽くし、テレビの前に笑顔を振りまくアイドルたち。彼女たちの多くは、今はもうアイドルという肩書きを背負っていない。

卒業後、女優やタレントとして芸能界に留まる人はほんの一部。その中で生き残る人はさらに一部。

ほとんどの「元アイドル」たちはステージを降り、一般社会に溶け込みながら生きている。

AKB48グループを卒業した「元アイドル」たちに半生を聞くルポ『アイドル、やめました。』の著者・大木亜希子さんもあの日の210人のうちの1人だ。

SDN48の一員として約2年半活動し、グループ自体の解散とともに卒業した。

いつまでも「元アイドルです」と言ってしまう

15歳で芸能活動を始めた大木さん。大手事務所に所属し、いくつかのドラマに出演したが、なかなか芽が出るチャンスはなかった。

芸能の道を諦めようとした矢先、最後のチャンスとして19歳でSDN48のオーディションに応募。晴れて合格し、2010年にデビューした。

夢に見たバラ色の未来は遠かった。徹底的な競争社会でありながら、単純なルックスや実力で序列が決まるわけではないアイドルという世界。

芸歴は長かった大木さんだが、最後までシングルCDの選抜メンバーには選ばれなかった。あの紅白歌合戦の日も、実はテレビには一瞬も映っていない。確かにNHKホールにはいたはずなのに。

<紅組5番目の出演で、SKE48、NMB48といったほかの姉妹グループも含め総勢210人で歌って踊る光景は、われながら圧巻だったと思う。

パフォーマンスの途中、私は緊張がピークに達して簡単な歌詞が飛んだ。だが、マイクを持たない「口ずさみ要員」であったためバレなかった。>

<「これで私は紅白出場歌手……」

と、座席で念仏のように唱えてみたが実感は湧かない。

なぜならば、終演後に実家の母にメールで確認したところ、テレビ画面に私は一切映っていなかったという知らせを受けていたからだ。

しかし、確かに私は今日あの場で踊っていたようである。アイドルグループの一員として。>

卒業後、しばらく地下アイドルとしてソロ活動を続けた。夜になると「いつか仕事につながるかも」と六本木や西麻布で行われる業界の飲み会にせっせと顔を出した。そんな生活をしていたある日、急に虚無感に襲われた。

「自分に何もないのに偉いおじさんに取り入っていても何も生まれないなって、ようやく気づいたんです。『元アイドル』じゃない何かになりたいのに、自信がないから『元アイドルです』と言い続けていました」

「いつまでも『あきこでーす』と愛想を振りまいて通用するわけない。このまま何者にもなれずに中途半端なまま、年をとって死んでいくんだろうかと怖くなったんです」

25歳で所属していた芸能事務所を退社し、ライターに転身する。

「元アイドル」の肩書きとどう付き合っていけばいいのか、迷い苦しみ続けてきた大木さん。同じような境遇の人たちに話を聞くことで「人生の答え合わせ」をしたいと思い始めた。

<私はずっと、アイドル時代の経験をどのようにして成仏させたらいいのかわからなかった。“元アイドル”という大きな十字架を背負うことが、誇りであると同時に大きなコンプレックスだった。>

<フリーランスライターとして独立した現在、本著を執筆する理由は、私と同じ経験をした女性から話を聞き、「人生の答え合わせがしたい」という点につきる。

彼女たちは「アイドルを終えたその後の人生」で、いかにして一般社会に戻り、別の職業に就き、どのような悩みとともに生き、どんな恋をしているのだろうか。>

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最終更新:5/25(土) 11:20
BuzzFeed Japan

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