ここから本文です

AI活用求められるが…医療分野に立ちはだかる特有の壁

5/25(土) 14:28配信

ニュースイッチ

実用化へ現場の理解が重要

 政府は、次の人工知能(AI)戦略として、AIをデジタル社会の「読み書きそろばん」とし、2025年までに数理やデータサイエンスの基礎を全ての学生が学べるよう大学教育を改革する方針を打ち出した。AIの実装はあらゆる領域に求められており、医療分野も例外ではない。一方で、医療専門用語は医師によって表現の仕方が異なり、情報に共通の書面様式(フォーマット)がないという医療分野特有の壁も存在する。医療AI開発には、これらのバラつきの解消が求められる。

 医療現場へのAI導入に重要なことは、情報の電子化である。すでに現在のカルテ情報も電子化されているものの統一のフォーマットはなく、AI開発に必要なデータを抽出するのは難しい。東京大学大学院医学系研究科の医療AI開発学講座の河添悦昌講座長は「情報の標準化が重要だ。医療用語に特化した辞書の作成と実装が求められる」と話す。

 一方で、医療用語ならではの標準化の難しさもある。同じ疾患を指す複数の表現が存在することだ。

 例えば末梢(まっしょう)動脈に血栓などで炎症が生じる「閉塞(へいそく)性血栓血管炎」は他に「バージャー病」、「ビュルガー病」と表現される。これらを辞書に従って表現を統一し、使える情報として蓄積させていくことがAI開発には欠かせない。河添講座長は「現場の仕事がAI開発を想定した情報収集へ変わることはないが、情報活用の仕組みへの理解が今後求められていくだろう」と話す。

 統一した用語集を作ることは口頭のやりとりにおいても重要だ。がん研究会のがんプレシジョン医療研究センター所長で内閣府の進める「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)のプログラムディレクターを務める中村祐輔氏は、音声認識の技術を応用したカルテの自動文書化システムの開発を進めている。診察時、医師がカルテへの記録に時間が割かれ、患者とのコミュニケーションを取る時間が少ないという問題を解決する。

1/2ページ

最終更新:5/25(土) 14:28
ニュースイッチ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事