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丸山暴言、国会がけじめを(5月26日)

5/26(日) 9:25配信

福島民報

 こんな低レベルの国会議員がいたのか。戦争によって北方領土を取り戻すことに言及した丸山穂高衆院議員のことである。長いこと永田町を取材したが、「戦争で」などと口にした政治家は初めてである。

 東大卒、経産省のキャリア官僚、そして政治家を多数輩出してきた松下政経塾。派手な経歴の過程で、憲法を熟読したことがなかったのではないか。国の基本である憲法をちゃんと学んでいれば、こんな“とんでも発言”は口にできないはずである。

 「国民主権」「基本的人権の尊重」と並んで「平和主義」は憲法の三大原則の一つである。その根幹は九条の「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に」放棄するとしている。義務教育でも教わる。

 「戦争でこの島を取り戻すのは賛成ですか反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと旧島民に問いただしたことは、領土を武力で奪還すべきだという意味が込められている。放言、失言を超えた発言だ。

 丸山議員は現憲法は「時代に合わない」とする憲法改正論者だという。改憲の主張はともかく、国会議員には「憲法尊重擁護の義務」(九九条)が課せられている。

 所属していた日本維新の会から除名され、野党から議員辞職勧告決議案を突き付けられた丸山議員は、発言を撤回し謝罪はしたものの「このままでは言論の自由が危ぶまれる」「言論の府(国会)が自ら首を絞めかねない」と反論する。

 しかし、ここで言論の自由を持ち出す言い訳は通用しない。確かに国会内、例えば本会議や委員会での発言は自由で、責任は問われない。自由、闊達[かったつ]な論議を保障するためである。

 だが、丸山発言はロシアとのビザなし交流団に同行して訪れた国後島でのことで、国会内ではない。自由な発言には責任が伴う。まして国会議員である。重い責任があることは明白だ。言論の自由の名の下に、常軌を逸した暴論が許されるわけがない。

 丸山議員は議員バッジを自ら外すべきだ。しかし、当人はそれを拒否し居座る覚悟だという。野党の議員辞職勧告案は、仮に可決されても、法的拘束力はない。本人の自発的な辞任を促す意味合いであるからだ。

 自民、公明の両党は野党案に同調せず、けん責決議案を提出した。「猛省を促す」という表現にとどめている。閣僚などの失言が続いた自民党は、野党案にうかつに乗れないということであろう。

 二つの決議案で対立した格好だが、丸山発言はこれまで問題になったさまざまな失言とは次元が違う。与野党は折り合って決議をまとめ、国会としてちゃんとしたけじめをつけるべきである。

 (元共同通信社編集局長、本宮市出身)

最終更新:5/26(日) 9:25
福島民報

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