ここから本文です

オアシスが国民的バンドとなった理由が分かる名盤『モーニング・グローリー』

5/26(日) 18:00配信

OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はオアシスの『シルク・ディグリーズ』を紹介したい。オアシスについて思うことは、なぜこんなに世代を越えて響く、普遍的な“いい曲”が書けるかということ。そして、どんなに広い空間であろうが、すっぽり覆ってしまうようなエナジーとスケール感のあるサウンドが素晴らしいということだ。普遍的ということについては、全世界で2300万枚を売り上げ、UKアルバムチャートで累計10週もの1位を獲得したオアシスの出世作『モーニング・グローリー』は文句なしの名盤である。とにかく全曲、キャッチーなオアシス節。洋楽をあまり聴かない人でも入りやすく、巨大なスタジアムでシンガロングがわき起こる光景が容易に想像できるナンバーがパッケージされている。
※本稿は2015年に掲載

イギリスのみならず世界中が注目するロックスターへ

オアシスはデビュー当初からイギリスの匂いがプンプンするバンドだった。“ビートルズの再来”と評されてもいたが、メロディー自体がUKロックの王道なのである。日本だと哀愁のあるちょっとウェットなメロディーがウケるのと同じように、その国の風景や気質に馴染む旋律というのは必ずある。彼らの曲を聴いた第一印象は直球ど真ん中のボールを投げるバンドだなということだった。2009年の解散の理由にもなったノエル&リアム・ギャラガー兄弟の度重なる人騒がせな喧嘩や、ライバルバンド、ブラーをはじめとする他のアーティストへの罵詈雑言、素行の悪さのエピソードはあまりにも有名なので、ここでは触れないが、今思うのは“オアシスがどれほど多くの若い世代に夢を与えたのだろう?”ということだ。労働者階級で家庭的にもやさぐれた環境に育ち、学校でも問題児、サッカーに行けば暴れまくる兄弟が、バンドという表現手段を手に入れたことでイギリスのみならず世界中が注目するロックスター(という形容にはほど遠いジャージファッションだったが)になっていくのだからーー。

もちろん、1960年代にも1970年代にも労働者階級からスター街道を驀進したバンドはたくさんいたが、オアシスが登場した1990年代はイギリスのバンドが低迷していた時代である。そんな中、家からそのまんま出てきたような出で立ちで楽器をかき鳴らし、パフォーマンスもせずに腕を後ろに組んでマイクに向かって歌うオアシスは、隣に住んでるガラの悪い兄ちゃんそのもの。ビートルズのようにアイドル性を兼ね備えていたわけでもなく、噂は芳しくないものばかり。にもかかわらず、音楽の力で成り上がったのである。「俺もいい曲を作ればオアシスみたいになれるかも」「スタジアムバンドになれるかもしれない」…そう思ったのはイギリスのファンだけではなかっただろう。

1/2ページ

最終更新:5/26(日) 18:00
OKMusic

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事