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IT業界「人手不足」と「大量の人余り」が同時発生 これってどういうこと?

5/26(日) 13:10配信

THE PAGE

 日本は空前の人手不足となっており、企業は人材の確保に苦労している状況です。これはIT業界でもまったく同じことですが、一方で大量の人材が余剰になるという問題も指摘されています。これはどういうことなのでしょうか。

 経済産業省が4月に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材が45万人不足すると予想しています。人材不足は各業界に共通した現象ですから、IT業界で45万人不足するというのはそれほど驚くような話ではありません。しかしこの予想は、一定の条件下で人材の需給を試算したものであり、設定した条件によって結果は変わります。

 近年、日本では最新の技術に対応できない技術者が増加しており、業界では深刻な問題となりつつあります。同じ試算において、従来型IT人材のスキル転換がスムーズに進まないと仮定した場合、逆に10万人以上の技術者が余剰になるという結果が出ています。全体的には55万人の人材が不足するものの、10万人は新しい技術に対応できず、人手不足と人材余剰が同時発生するわけです。

 これはIT業界に限った話ではありません。企業の事務部門では、既存業務をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使って自動化するという動きが活発化しており、大量の余剰人員の発生が見込まれています。メガバンク各行や富士通、NECといった大手企業が相次いでリストラ計画を打ち出していますが、その内容は不要となった事務部門の人材を営業などの収益部門に異動させるというものです。業績が絶好調のソフトバンクグループですら、事務部門から収益部門への異動を行う方針ですから、この流れは加速するでしょう。

 しかし長年、事務作業だけをしてきた社員がスムーズに収益部門に異動できる保証はありません。このうちの何割かは社外に活躍の場を求めるしかなく、会社側もそれを前提に計画を立てているともいわれます。

 リクルートワークス研究所の調査によると、日本企業の内部には、社員として在籍しているものの、事実上、仕事がない、いわゆる社内失業者が400万人もいるといわれています。現在、日本で働いている外国人労働者はわずか140万人ですから、数字上は日本にはまだまだ人材が余っている計算になります。

 しかし、スキルに関してミスマッチがあると、余剰人材が別の場所で活躍できるとは限らなくなります。人手不足を解消していくためには、労働者に対する再教育といった、これまでとは異なるアプローチが必要になってくるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5/26(日) 13:10
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