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[特派員コラム]本物のトランプ流外交は北朝鮮だ

5/26(日) 7:39配信

ハンギョレ新聞

 19日から23日まで、米ワシントンとニューヨークを訪問した韓米議会外交フォーラム所属の与野党議員たちの表情はあまり明るくなかった。スティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表や共和党・民主党議員などシンクタンク関係者らに会い、朝米交渉に関して意見を交わした彼らが、記者団に漏らしたのは「心配だ」、「気が重い」などの言葉だった。2月末にベトナムのハノイで開かれた第2回朝米首脳会談で、米行政府が北朝鮮に挫折し、その後も政界で北朝鮮の核問題は後回しにされているということだ。

 「ハノイでのノー・ディール」以降、ワシントンで北朝鮮問題が後回しにされているのははっきり感じられる。ドナルド・トランプ大統領は中国やイラン、ベネズエラなどに対外政策に焦点を移し、国内的には「ロシアスキャンダル」関連攻勢の防御や経済好況の自慢、移民政策ドライブなどに専念している。彼はとっくに来年11月の大統領選挙を見据えている。今年トランプ大統領がツイッターで「北朝鮮」に触れたのは、2月にハノイ首脳会談までは月平均8.5回だったが、その後、ひと月当たり平均3.3回に減った。ワシントンのシンクタンク関係者は「北朝鮮に対する関心が大幅に減った」と口をそろえる。北朝鮮がトランプ大統領と米マスコミの注目を浴びたのは、今月初めの2回にわたる飛翔体の発射と米国が北朝鮮の貨物船に対する差し押さえを発表した時だった。

 朝米間の冷却期が長くなるにつれ、オバマ政権の「戦略的忍耐」を批判し、積極的な対北朝鮮政策を展開してきたトランプ大統領さえも、前任者と同じ道を歩むのではないかという懸念が高まっている。しかし、数多くの対外政策の中で、北朝鮮こそがまさに“トランプ流”の議題だ。イランに対するトランプ政権の圧迫は、2015年に結んだイラン核協定の脱退とイランの政権交代の追求という“オバマ色を消す”ための性格を帯びている。中国との貿易戦争は、米国が長く行ってきた中国との覇権争いのトランプバージョンだ。ベネズエラの政権交代を目指すのも、現マドゥロ政権をキューバの手下と見なすトランプ政権が、2015年のキューバとの国交正常化を揺さぶる作業と関連している。

 しかし、北朝鮮問題は違う。トランプ大統領は大統領選挙の際、「金正恩(キム・ジョンウン)とハンバーガーを食べながら会談をする用意がある」と公言し、しばらく「炎と怒り」で機会を伺った後、北朝鮮の金正恩国務委員長が差し出した手を取り、米大統領としては初めて北朝鮮の最高指導者と、それも2度も核に関する談判を行った。6カ国協議の枠組み内にとどまり、事実上、北朝鮮を放置してきたこれまでの大統領たちと異なり、トランプ大統領は首脳間のトップダウン方式で朝米対話の新しい幕を開き、その結果、朝鮮半島の緊張を著しく引き下げた。イランに「公式的な終末」を脅かすトランプ大統領に対し、「北朝鮮に使ったプレーブック(戦術)を使っている」という声があがるほど、対北朝鮮交渉はトランプの代表的外交モデルとして認識されている。

 問題は対話に次ぐ停滞局面だ。この膠着が長引けば、トランプ大統領も対北朝鮮政策を“成功”と主張するのは難しくなる。彼が主張する「核・ミサイル実験の中断」の成果は、北朝鮮が武力誇示を強める瞬間に崩れ落ちる脆弱な構造だ。

 トランプ大統領が北朝鮮や中国、イラン、ベネズエラなどの事案で、すべて一方的に勝利することは可能だろうか。米シンクタンクのアトランティック・カウンシルのフレッド・ケンプ会長は、トランプ大統領を「ジャグリングの司令官」と呼び、「このうち一つでも成功すれば大きな勝利だが、ボール一つでも落とせば、該当地域と米国の信頼度に長期にわたって影響を及ぼす結果を招くだろう」と指摘した。トランプ大統領が成功を望むなら、北朝鮮を「状況管理の対象」から「優先交渉の対象」に再び格上げしなければならない。トランプ大統領が独創的に主導してきた対北朝鮮外交にこそ、彼が動きまわる広い空間が存在するからだ。

ファン・ジュンボム・ワシントン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:5/26(日) 7:39
ハンギョレ新聞

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