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投資のきっかけは仮想通貨? なぜ若者はビットコインを買ってしまうのか

5/27(月) 7:45配信

ITmedia ビジネスオンライン

 

 「投資のきっかけは仮想通貨のリップルを買ったことです」「ビットコインを買って、上がったのでFXを始めました」

米DataLightによる仮想通貨を取引するユーザー数の推計

 角川ドワンゴ学園N高等学校(N高)が設立するN高投資部の設立記念講義で、「投資をやったことがあるか?」という質問に対して、多くの学生はこう答えた。投資未経験者にとって、身近な投資というと仮想通貨。そんな状況が垣間見える。

 3月に仮想通貨取引所のGMOコイン(東京都渋谷区)が行った調査でも、仮想通貨が初心者を引きつけている様子が分かる。仮想通貨取引を行うユーザーのうち、実に4割が投資未経験者だ。彼らにとっては、初めての投資が仮想通貨だということだ。

金融庁は投資教育の重要性を言うが……

 「貯蓄から投資へ」。こんなスローガンと共に、金融庁は投資教育の重要性を掲げる。その背景には3つの変化がある。

 1つは終身雇用の崩壊だ。定年まで勤め上げて退職金をもらい、老後を過ごす。日本自動車工業会の豊田章男会長が「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」というように、終身雇用制度は崩れつつある。

 2つ目は年金の問題だ。17歳の高校生が「年金も、僕らの世代は本当にもらえるか疑問だ」と話すほど、年金制度への信頼は下がっている。その信頼を取り戻すどころか、「年金だけでは足りなくなるから自助努力で資産運用してください」というのが国の本音だろう。

 そして3つ目は長引く低金利だ。現在のメガバンクの定期預金金利は0.01%。100万円を預けても、100円しか利子がつかない。ところが、1990年台前半までは金利3%以上が普通で、バブル期には8%といった高金利のことさえあった。インフレはあったものの、貯蓄だけでもかなりの利子が得られていたのだ。

投資初心者の取り込みを狙う各社

 こうした社会情勢や、NISAやiDeCoといった国の税制優遇策を背景に、多くの企業が、投資未経験者をターゲットにしたサービスをスタートさせている。

 銘柄選びや運用を企業にお任せする「ロボアドバイザー」サービス各社も、投資未経験者の取り込みを狙う。THEOを運営するお金のデザインは、「金融資産100万円未満の人もスタートし始めた。女性ユーザーも増加している」と、初心者の利用増加をアピールする。しかし、ロボアドバイザーは、WealthNavi、THEO、楽天の大手3社を合わせても、ユーザー規模は20万人強でしかない。

 投資後、20年間に渡って投資利益を非課税とする「つみたてNISA」も、金融庁のキモ入りでスタートした制度だ。従来のNISAに比べると、40代以下が7割と多く、投資初心者の入り口の一つとなった。しかし開始から1年経った時点での口座数は100万口座。開始から5年で1100万口座を超えている一般NISAと比べると、必ずしも順調とは言えない。

 一方で、仮想通貨の取引経験者は数多い。2018年4月に日本仮想通貨交換業協会がまとめた資料では、利用者は350万人にのぼっている。そして、40代までで全体の約9割を占めるなど、ほとんどが若者だ。全体の77%が預け入れ資産額10万円未満となっており、まさに小遣い感覚の投資として参加している様子がうかがえる。

 さらに、米DataLightが取引所トラフィックデータなどからまとめた調査(4月29日発表)によると、日本のユーザー数は610万人に増加しているという。日本の20〜40代の人口は約4500万人。仮に610万人の利用者の9割が40代以下だとすれば、実に10人に1人が何らか仮想通貨取引の経験者だという計算になる。

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最終更新:5/27(月) 7:45
ITmedia ビジネスオンライン

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