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「退職予定者をいじめる」会社には重いツケが回ってくる、意外な理由

5/27(月) 6:30配信

ITmedia ビジネスオンライン

 転職や退職で人生の新たなステップに向かう人にとって、元の職場ともめずに気持ちよくお別れしたいのが人情というもの。ただ、実際は必ずしもうまくいかないようだ。

【画像】退職表明後、トラブルに見舞われる人

 転職仲介を手掛けるワークポート(東京都品川区)が2018年12月に同社のサービスの利用者535人に行ったアンケートでは、62.4%が「退職時に会社からの引き留めにあった」と回答した。うち17.7%は嫌がらせやパワハラといったトラブルに発展していたという。慢性的な人手不足の折、企業側も退職者の発生に神経をとがらせているのかもしれない。

 退職時のトラブルは転職者にとって不幸でしかない。だが、実は辞められる側の会社もそうした「ひどい辞めさせ方」を社員に味わわせた結果、業務などに深刻なデメリットが発生するケースがあるという。

退職表明した途端に上司豹変、「辞める人に仕事はない」

 今は人材業界で働く山本累さん(30代、仮名)は、数年前まで人事担当として勤務していたとあるサービス系の大手企業で、こうした退職のトラブルを何度か目撃した。

 ある日、この会社に5年ほど勤めていたクリエイティブ職の若手社員が退職を申し出た。それまでの勤務態度は良好で、転職理由もあくまでキャリアアップという前向きなもの。会社に不満があったわけではなかった。退職日のタイミングも「職場の都合に合わせる」と申し出ており、もめる要素は無さそうだった。

 しかし、この社員と仲の良かった直属の上司の態度が豹変。「辞めると分かっている人を現場に出すわけにはいかない」と今まであてがっていた仕事を振らなくなり、事務作業ばかり押し付けるようになった。最後には「辞める人にやってもらう仕事はない。給料は払うので会社に来ないでくれ」と言い渡し、そのまま若手社員は退職するはめになった。「かわいがっていた部下の退職で、この上司は逆に憎たらしくなったのかもしれない」と山本さんは振り返る。

口コミサイトに悪評、採用に支障も

 山本さんの在籍時、この会社では数年間にわたり似たような退職トラブルが頻発していた。同時に、インターネット上では会社のネガティブな風評が出回るように。転職希望者向けのサイトや業界のユーザー向け口コミサイトで、社内事情に通じた元従業員の物と思われる悪口の書き込みが増加した。それらを見てしまった入社希望者が採用面接を辞退するケースも発生。取引先の業者間でも会社の悪評がささやかれるようになり、頼んだ仕事を断られる事態にまで発展した。

 山本さんは「こうした悲しい転職は以前もあったのだろうが、今はSNSなどに書き込んで発信できる場が増えたため転職者たちが泣き寝入りしなくなったのだろう」とみる。その後、この会社では社員の退職手続きについて現場に任せずにできるだけ人事担当者が間に入り、聞き取り調査にも取り組むようになった。「人事が社員の退職手続きに関与していくことで、上司も過激な言動を取りづらくなっているようだ」(山本さん)。

 辞める側だけでなく、辞められた会社側も最終的には事業や採用活動に悪影響をもたらしかねない、こうした退職時のトラブル。転職予定者向けの「退職代行サービス」などが話題になる一方で、そもそもの原因である会社側の「トラブルに陥るような辞めさせ方」を改善しようという動きも始まっている。

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最終更新:5/27(月) 6:30
ITmedia ビジネスオンライン

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