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猛威を振るうトランプ台風。漁夫の利を得るのはどこ?:本田雅一のウィークリー5Gサマリー

5/27(月) 17:00配信

Engadget 日本版

“5G“とは直接の関係はありませんが、来日中の米トランプ大統領が署名した大統領令が、世界第2位のスマートフォンメーカーでもあるHuaweiの事業に甚大な影響を与えています。

日本は無関係かというと、そうでもなく、日本の部品メーカーが得意とする領域で発注のキャンセルが大量に出れば、一時的な業績に少なからず影響が出るのではないでしょうか。また生産調整が難しい半導体......特にメモリ(フラッシュもDRAM)は価格下落から大きな影響が出るかもしれません。

一方、グローバルでのスマートフォン出荷台数は、2019年に14億台を少し切る程度(IDC予測・正確には13億9490万台)と予想されていますが、このうち“少なくとも“2億台以上はHuawei製端末が占める見込みでした。というのも、Huaweiは2017年におよそ1億5000万台、2018年では2億台以上を出荷と急成長しており、おそらく今年は(北米では販売されていないにもかかわらず)2億5000万~3億台程度の端末を出荷すると推測されていたわけです。

世界ナンバーワンのSamsungは年間出荷台数で3億台を割り込んでいることもあり、今年はナンバーワンがSamsungからHuaweiに交代する可能性が高かったのです。

“トランプ台風一過“に笑うのはSamsungとApple?

上位モデルにフォーカスしているAppleとは異なり、価格面で幅広いラインナップを持っているSamsung。また、近年は統合する方向ではあるもものの、国ごとの市場環境に合わせてモデルを用意してきました。グローバルでのナンバーワンを支えていたのはそうしたミドルクラスを含めた出荷台数で、それはHuaweiも同様です。

Samsungの場合、日本を含めた成熟市場ではSシリーズとNoteシリーズを主力にしていますが、新興国ではAシリーズなどミドルクラスが主力。シェア回復を狙ってSamsungはミドルクラスのモデルにも、上位モデルに近い外装仕上げを施し始めていましたから、Huaweiが減速すればミドルクラス端末での市場においてはSamsungがシェアを伸ばすことになるでしょう。

一方でハイエンドモデルに関しては、そのままHuaweiの市場がSamsungに引き継がれるとは考えにくいところです。なぜなら、中国市場において“Huaweiとシェアを争っていた“一番のライバルはAppleだったからです。

Apple製端末は高価であるものの、質感や一貫性のある操作感、アプリのエコシステムなど、体験の質が整えられていることもあり(中国ではGoogleが事業を行っていないため、PixelもなければGoogle Playなどアプリマーケットや各種関連サービスもありません)、高級端末としてiPhoneが人気でした。

そのiPhoneが中国市場でのシェアを下げるにつれて伸びていたのがHuaweiだったのです。もちろん両社に完全な相関があるわけではありませんが、市場の成熟とHuawei製端末の完成度向上、独自SoCを用いて驚きのカメラ機能・スペックやAI機能を搭載し、Androidを採用する他のスマートフォンメーカーに対しても、独自の立ち位置を築いていたと言えます。

Huaweiは必要な部材、部品を確保しており、当面は生産が続けられると話しているため、Google Mobile Service(前回のコラム参照)の継続的な提供ができなくなり日本や欧州での販売が滞ったとしても、中国では事業を続けられるかもしれません。

しかし、Huaweiが本来得意としているのは通信事業者向けのB2B製品やその補修サービスなどです。サーバや基地局制御の装置などで使われているプロセッサ(x86プロセッサを生産しているグローバルでたった二社しかない会社は、ご存知の通りどちらも米国企業)が使えないとなると、Huaweiは徐々に力を落としていくかもしれません。今後、人材流出や市場での存在感fが薄れれば、中国国内でも本業ではないスマートフォン事業への投資が滞り、Huaweiから他社へのシフトが進む可能性は高いのではないでしょうか。

その結果、OPPOやXaomiのような中国メーカーがさらにデザインや機能を洗練し、Huawei製端末の後釜を提供することになるかもしれません。あるいは(米中摩擦による消費者感情の悪化などの可能性もありますが)Appleが中国市場でのシェアを回復することも考えられます。

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最終更新:5/27(月) 17:00
Engadget 日本版

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