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社説 「きょう日米首脳会談] 緊張緩和の役割果たせ

5/27(月) 8:10配信

沖縄タイムス

 来日中のトランプ米大統領は26日、東京・両国国技館で大相撲を観戦し、幕内優勝を果たした前頭の朝乃山に「米国大統領杯」を授与した。

 国技館には貴賓席があるのに、トランプ氏は、あえて土俵近くの升席にイスを置き特別席で観戦した。

 午前のゴルフ、午後の相撲観戦、夕方の炉端焼き店での夕食会。その様子は、テレビを通して茶の間に届けられ、ツイッターで発信された。

 持ち上げ、ほめそやし、取り入る。安倍晋三首相とトランプ大統領の個人的な関係は、このようにして築かれ、高額な武器購入などによって維持されてきた。そして、今回の「おもてなし」である。

 トランプ氏と安倍氏の親密な関係が安倍政権の政治的な資産であるのは間違いない。問題は、これをどのように生かしていくか、である。

 親密な関係を維持するため、要求すべきことも要求せず、従属的な態度を取り続けるだけでは、日本の利益を守ることはできない。

 27日には、11回目となる日米首脳会談が開かれる。 

 日米が抱える課題は山積している。農産物や自動車などの貿易交渉がそうだし、北朝鮮のミサイル開発がそうだ。 貿易交渉についてトランプ氏は26日、夏の参院選まで妥結を急がない姿勢を示し、日本側に貸しをつくった。

 参院選が終わるまで難しい問題の発表は先送りし、会談後の記者会見で強固な日米関係を内外にアピールするのだろう。トランプ氏の訪日は、内実を欠いた危うい政治ショーになる可能性が大である。

 ■ ■

 名護市辺野古の新基地建設は、日米関係のノドに突き刺さったトゲである。

 沖縄県はトゲが刺さった状態で復帰し、今なおそのトゲに苦しみ、これから先もノドに突き刺さったトゲから自由になれない不安を抱える。

 県民投票で「辺野古埋め立て反対」の圧倒的な民意が示されたあとだけに、日本側が率先してこの問題を取り上げ、新たな解決策を模索するのが筋だ。

 だが、安倍政権にその気配は全くない。日米首脳会談でも何一つ期待することができないのである。

 平成から令和への改元、トランプ米大統領の来日と前例のない「おもてなし」-一連のイベントを通して目についたことがある。

 それは、安倍首相を時の人としてクローズアップさせる広報戦略や演出力の巧みさであり、同時に、改元であれ大相撲であれ政治利用をためらわない姿勢である。

 ■ ■

 安倍首相は、対立状態が続く米国とイランの関係改善を進めるため、来月にもイランを訪問する意向だという。

 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との首脳会談について条件をつけずに実現を目指す方針も明らかにしている。 トランプ大統領に付き従うだけの、従来の硬直した外交では、国際社会の信頼は得られない。

 日本外交の「平和主義」の原則を再確認し、封じ込めではなく、アジアの緊張緩和と核軍縮に率先して取り組んでいくことが重要だ。

最終更新:5/27(月) 8:10
沖縄タイムス

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