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<小野憲史のゲーム時評>ゲーム依存症の疾患認定に思う 「ゲームは善」と言うために…

6/2(日) 10:20配信

まんたんウェブ

 超硬派のゲーム雑誌「ゲーム批評」の元編集長で、ゲーム開発・産業を支援するNPO法人「国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)」元代表の小野憲史さんが、ゲーム業界の現在を語る「小野憲史のゲーム時評」。今回は、先日「ゲーム依存症」を世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」という疾患として認めたニュースについて語ります。

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 世界保健機関(WHO)が、スイスのジュネーブで5月25日に総会を開き、国際疾病分類の最新版「ICD-11」を正式承認した。これに伴い、テレビゲームのやり過ぎで日常生活に支障をきたす、いわゆる「ゲーム依存症」が、国際的に「ゲーム障害」という疾患として認定された。新疾病分類は2022年1月から施行され、世界中の医療関係者によって、診断や調査で使用されることになる。

 本件に対してゲーム業界の反応はさまざまだ。米ゲーム業界団体のESA(エンターテインメントソフトウェア協会)は、ICD-11の内容は証拠不十分だとして、各国の業界団体の連名で、再検討を求める声明を発表した。一方、日本ではCESA(コンピュータエンタテインメント協会)をはじめ4団体が、ゲーム依存に関する調査研究を目的とした研究会を発足するなどして、調査研究を進めている。

 筆者もゲーム愛好家の一人として、ゲームが依存症の原因になるという考え方について、ネガティブな感情を持つことは理解できる。しかし、ゲーム業界は今回の認定を逆に好機として捉えて、大学や医療機関などと連携し、研究と対策を進めるべきだ。なぜなら、ゲームの遊びすぎで依存症になるメカニズムを解明することは、面白いゲームを作る上でも重要だからだ。

 ゲーム開発者はこれまで、プレーヤーをゲームに熱中させるために、さまざまな工夫を凝らしてきた。もっとも、なぜ人がゲームに夢中になるのか、その仕組みは科学的に解明されていない。こうした中でゲーム開発者は試行錯誤を繰り返し、ヒットの傾向を見ながら、ノウハウを蓄積してきた。ゲーム開発は経験則の積み重ねに負う点が多く、体系化・理論化されている部分が非常に少ないのだ。

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最終更新:6/2(日) 10:20
まんたんウェブ

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