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西武信用金庫に業務改善命令 消えた“落合マジック”の果て

6/1(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

 独自の積極経営で増収増益を続け「信金界の麒麟児」ともてはやされた西武信金(本部・東京都中野区)に5月24日、金融庁の業務改善命令が出された。反社勢力と疑われる相手への融資や不動産投資向け融資で業者の書類改竄を見抜けず貸し出しを行っていた事例が多数見つかったからだ。このためカリスマ経営者と名高かった落合寛司理事長を含む理事3人が引責辞任した。

 西武信金は東京都、神奈川県、埼玉県に店舗展開する、預金残高約2兆円、貸出残高1兆6000億円超の大手信金。落合氏が理事長に昇格して以降、体育会系のイケイケ路線で業容を急拡大させて話題を集めた。

 同金庫の貸出残高は、落合氏が理事長に就任した2010年度以降、急カーブを描いて増え続け、17年度までに7700億円も増加した。過去10年で貸出残高が約2倍になった格好だ。預金に占める貸し出しの割合(預貸率)は85%を超えていた。信金業界の平均預貸率は50%程度。他信金が貸し出しに苦慮する中、その手腕は“落合マジック”と呼ばれた。また、落合氏は「職員の給与を日本一にする」と豪語し、自身も年収8000万円前後とメガバンクトップ並みの報酬を手にしていた。

「落合氏は融資量の伸びを『お客さま元気度曲線』、不良債権比率を『お客さま元気度比率』と呼び、金庫は『お客さま支援センター』であり、商品は“解決力”をスローガンにしていました」(関係者)

 貸し出しが急増し続けるのは、こうした解決型の提案営業が功を奏した結果とみられていたが、実態は不動産投資向け融資に依存した無理な経営だったようだ。

 一方、「反社勢力と疑われる相手への融資は、落合前理事長が支店長を務めたことがある立川方面の支店取引先とみられています。落合氏は当該案件について監事会から複数回にわたり調査要請を受けましたが、拒否しています」(金融庁関係者)。

 問題は、業務改善命令を機に西武信金の信用力低下に伴う資金流出と、不動産関連の融資の焦げ付きが懸念されていることだ。西武信金の自己資本比率の低下は避けられないが、その際、資本を仰ぐのは業界の中央銀行的な役割を担っている信金中央金庫となる。果たして資本注入はあるのか。

(小林佳樹/金融ジャーナリスト。)

最終更新:6/1(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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