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NHKらしくない?「腐女子、うっかりゲイに告る。」賛否両論のタイトルの裏側

6/1(土) 12:09配信

BuzzFeed Japan

私もあなたの「普通」がほしい

――企画を出されたのは上田さんとお聞きしました。

清水:最初は、BLやりたいって言ってたんだよね。

上田:そうなんです、男性同士の恋愛をやりたくて。

――ということは、上田さんも腐女子……ですか?

上田:BLは大好きです! 紗枝ちゃん(注:主人公・純に思いを寄せる三浦紗枝)みたいに、自信をもって腐女子と名乗れるほどではないですが!

――公式サイトにある「原作小説に出会ったとき、私は猛烈に腹を立てていました」という上田さんの言葉が強烈でした。それは世の中に対する「怒り」でしょうか。

上田:2018年の春頃、若者向けの新しいドラマ枠「よるドラ」でどんな作品をやるか部内で議論している時に、自分の妊娠がわかったんです。

「妊娠しまして、秋に生まれます」と上司に報告したら「おめでとう」という言葉の次に、「じゃあ、よるドラの準備はもう大丈夫だよ」と気遣ってくれるわけですよ。

――ああ、その言葉、悪意はないだろうけれど……。

上田:そう、悪意はないんですよね、むしろ気を遣ってくれているんです。気持ちはわかるんですけど、すごくモヤモヤしてしまって。

今まで「上田」という総体として捉えてくれていたのに、突然他の要素がなくなって「母親」という属性にくくられたことに。せっかく面白い仕事ができそうなのに、頑張ってみたいと思っているのに、「子どもが一番でしょう」となってしまう。

人生で大事にしたいものっていろいろあって当たり前なのに、なんでわざわざ「仕事も大事です」と言わなきゃいけないんだろう? なんで女性が「仕事も家庭も」と言うとワガママだと思われるんだろう?

男性は「普通」に手に入れてるじゃん! 私もあなたの「普通」がほしい! とムシャクシャしてたんです。

「普通」ってなんだ?

――「普通」はこの作品の中でも大きなテーマになっていますね。

上田:そんなモヤモヤを抱えている時に出会ったのが、原作小説でした。それこそ紗枝ちゃんのように、本屋さんでBLコミックや小説を抱えてレジに向かう途中で目があって。

読みはじめてすぐ、純くんの叫びに「私も同じだ」と心を掴まれたんです。

世間体じゃない。世俗を気にしているわけじゃない。少なくとも僕は、僕と奥さんと子どもで築く平凡な家庭も、郊外の庭付き一戸建ても、孫たちに囲まれた幸せな老後も、全部欲しい。たくさんの家族に看取られて、「いい人生だった」なんて呟いて、眠るように息を引き取りたい。

ゲイに生まれたけれど家庭がほしい、世間体として一応じゃなくて、本当に心からほしい。ただ、生まれついた性質では“普通の幸福”を手に入れられない。

“アイ・ウォント・イット・オール”、「全部ほしい」という純くんの願いが自分の心境と強くリンクしたんです。

「異性愛者の女性」という真反対の立場の私が共感できたんだから、きっと多くの人の心に刺さるはず。性的マイノリティーの当事者じゃなくても「これは自分の物語だ」と、私のように思ってくれる人は絶対いると思いました。

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最終更新:6/1(土) 12:09
BuzzFeed Japan

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