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なぜ逆走? 新交通システム事故 全国にリスク拡大も

6/2(日) 21:10配信

産経新聞

 二重三重に安全対策が施されたはずの新交通システムで、なぜ逆走事故が起きたのか。何らかのシステム上のトラブルがあった可能性もあり、専門家は「人員輸送の安全の根幹に関わる」と重要視。全国各地の同種路線でもリスクをはらんでおり、徹底的な原因の究明が求められる。

 新交通システムは、自動列車運転装置(ATO)で運行を制御。車両に搭載された装置が路線のデータを全て記憶し、駅側からの情報や自動列車制御装置(ATC)の信号などを基に速度を決めて走り、各駅で自動的に停車する仕組み。

 運営会社は、ATOと事故車両とのやり取りは正常だったとの記録が残っていると説明するが、「予期しないシステム上のトラブルがあった可能性もある」との見方を示すのは、関西大の安部誠治教授(交通政策論)。その場合は、同じシステムを使う他の路線にも影響が及ぶという。

 新交通システムは、「ゆりかもめ」や「日暮里・舎人(とねり)ライナー」(いずれも東京)など各地で導入が広がり、JR東日本の山手線でも試験走行が進む。

 今回の事故で、運輸安全委員会が調査結果を出すには、1年程度かかるとみられるが、観光客や住民の通勤・通学の足として早期の運行再開も望まれる。

 安部氏は「逆走は非常に危険で、輸送の安全の根幹といえる。運行再開には、運営会社が第三者による検証委員会を設けるなどし、ある程度の原因を示す必要がある」と訴える。

 工学院大の曽根悟特任教授(鉄道工学)は、逆走が終着・始発の新杉田駅で起きたことに着目。折り返し運転で進行方向を切り替える必要があるため、「途中駅と異なり、システム上の段取りが多くなる。こうした中で何らかのトラブルが起き、逆方向に動き出したのではないか」とみる。

 新交通システムをめぐっては、平成5年10月に「ニュートラム」(大阪)が終着の住之江公園駅のホームをオーバーランして車止めに衝突、200人以上が負傷。同11月には、同駅で折り返し運転しようとしたところ、前後進の切り替えができずに発車不能となるトラブルもあった。

 曽根氏は「不具合が起きれば、本来なら車両が動かなくなるシステムになっているはず。今回の事故は、こうしたミスをカバーできる設計になっていなかったことで生じたとも考えられる」と推測する。

最終更新:6/3(月) 8:01
産経新聞

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